電磁界の健康への影響に関する問題については,国内外の専門機関が総合的な評価を行っており,総じて「電力設備や家電製品など居住環境における電磁界が人の健康に有害な影響をおよぼすとは認められない」という報告となっています。
下表に主な専門機関において総合評価を行った結果の概要を紹介します。

【専門機関の評価の概要表】

国内外の専門機関「報告書」(発表年) 見解・結論の要点

世界保健機関(WHO)
「環境保健基準69」(1987)

50ガウス(50,000ミリガウス)以下の50/60ヘルツ磁界では有害な生物学的影響は認められていない。

環境庁(現環境省)
「電磁環境の安全性に関する調査研究」(1992)

WHO刊行の2文書(1984,1987)の内容を超える資料はない。極低周波電磁界の生体影響に関しては従来の知見をとくに修正する必要はないと結論できる。

通商産業省(現経済産業省)
「電磁界影響に関する調査・検討報告書」(1993)

現時点において、居住環境で生じる商用周波磁界により人の健康に有害な影響があるという証拠は認められない。

環境庁(現環境省)
「電磁環境の健康影響に関する調査研究」(1995)

1992年のレビューと同じく、WHO刊行の2報告に示される極低周波電磁界の生体影響に関するこれまでの知見を修正するに足る報告はない。

全米科学アカデミー
「居住環境の電磁界曝露による健康影響の可能性」(1996)

居住環境での電磁界の曝露が,ガンや神経,行動への有害な影響,あるいは生殖,成長への影響を生じさせることを示す一貫した証拠は何もない。

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)
「時間変化する電界,磁界及び電磁界への曝露制限のためのガイドライン(300GHzまで)」(1998)

一般公衆の50ヘルツ磁界曝露制限のガイドラインを1ガウス(1,000ミリガウス)とする。

米国EMF-RAPID計画
「商用周波電磁界の曝露による健康影響」(1999)

電磁界の曝露が,何らかの健康リスクを提起するということを示唆する科学的証拠は弱い。疫学研究の知見を完全に無視することはできないが,電磁界が真に健康に危険であるという確率は小さい。

英国放射線防護局(NRPB)
「極低周波電磁界とガンのリスク」(2001)

実験研究では,極低周波電磁界がガンを引き起こすことを示す十分な証拠は得られておらず,疫学研究でも,極低周波電磁界が一般にガンを引き起こすことは示唆されていない。

国際がん研究機関(IARC)
「静的電磁界と極低周波電磁界」概要(2001)

極低周波(ELF)磁界をコーヒーや漬け物などと同じ「人に対して発がん性があるかもしれないグループ(グループ2B)」、静磁界,静電界および極低周波(ELF)電界をコレステロールやお茶などと同じ「人の発がん性に関して分類できないグループ(グループ3)」に分類。ただし、疫学的証拠は限定的で、選択バイアスの影響の可能性が残ることや、動物実験での証拠は不適切であることを指摘している。

[分類](2014)

  • グループ1:

    発がん性がある。
    (例 アスベスト、太陽光、紫外線、 喫煙、受動喫煙、アルコール飲料、ホルムアルデヒドなど)

  • グループ2A:

    おそらく発がん性がある。
    (例 木材などのバイオマス燃料の室内での燃焼など)

  • グループ2B:

    発がん性があるかもしれない。
    (例 コーヒー、漬物、ガソリンエンジン排ガスなど)

  • グループ3:

    発がん性を分類できない。
    (例 コレステロール、お茶など)

  • グループ4:

    おそらく発がん性はない。
    (例 カプロラクタム)

* 選択バイアス: 実際に観察する集団が、特定 の傾向、特性、方向性をもった集団であるとき に起こる偏り。

 

世界保健機関(WHO)
「ファクトシートNo.263」(2001)

極低周波磁界は、人に対して発ガン性があるかもしれないと分類されたが、極低周波磁界への曝露と小児白血病との間に観察された関連性について、他の説明がある可能性も残る。特に、疫学研究における選択バイアスの問題や他の種類の電磁界曝露については厳密に分析するに値する。

電気学会(電磁界生体影響問題調査特別委員会)
「電磁界の生体影響に関する現状評価と今後の課題(第I,II期報告書)」(1998,2003)

通常の居住環境における電磁界が人の健康に影響を与えるとは言えない。

世界保健機関(WHO)
pdf「ファクトシートNo.322」(2007)

100マイクロテスラよりもはるかに高い磁界への短期的な曝露は、神経・筋肉への刺激等の生物学的影響が生じるため、国際的なガイドライン(ICNIRP等)を採用すべきとしている。

低いレベルの磁界の長期的な曝露と小児白血病との関連性は、因果関係があると見なせるほど強いものではないため、以下を推奨している。

  • 科学的な不確実性を低減するため、科学を注視し、研究プログラムを推進すべき。

  • すべての利害関係者による効果的で開かれたコミュニケーションプログラムの構築を推奨。

  • 新たな設備建設や装置設計の際は、磁界曝露を減らす低コストな方策を探るのも良い。ただし、科学的に根拠がなく、国際的なガイドラインよりも低い曝露限度値を採用することは是認されない。

国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)
pdf『時間変化する電界および磁界へのばく露制限に関するガイドライン(1 Hzから100 kHzまで)』(2011)

〔短期的影響〕
最新の科学的知見に基づき、ふだんの生活のなかで浴びる磁界のガイドライン値を200マイクロテスラ(50ヘルツ、60ヘルツの商用周波数)とする。

〔長期的影響〕
磁界と小児白血病の因果関係は確立されておらず、またそれ以外の長期的影響も認められないことから、ガイドラインを設定しない。

<参考>1マイクロテスラ(μT)=10ミリガウス(mG)

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