告示濃度比総和
国は法令※で、放射性物質を環境へ放出する場合の、核種毎の放射能濃度の上限(告示濃度限度)を定めています。複数の放射性物質を放出する場合は、核種毎に告示濃度限度が異なることから、それぞれの告示濃度限度に対する比率を計算し、その合計値を「告示濃度比総和」とよんでいます。
※東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関して必要な事項を定める告示
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汚染水に含まれる放射性核種のうち、トリチウム以外の大部分の核種を取り除くことができます。
「多核種除去設備」は、福島第一原子力発電所で発生する汚染水を浄化する設備のひとつです。この設備にある、吸着材が充てんされた吸着塔に汚染水を通すことによって、放射性物質を取り除く仕組みになっており、トリチウム以外の大部分の核種を取り除くことができます。
なお、汚染水に関する国の「規制基準」は①タンクに貯蔵する場合の基準、②環境へ放出する場合の基準の2つがあります。周辺環境への影響を第一に考え、まずは①の基準を優先し多核種除去設備等による浄化処理を進めてきました。そのため、現在、ALPS処理水等はそのすべてで①の基準を満たしていますが、②の基準を満たしていないものが約7割あります。
当社は、処理途上水(告示比総和1以上)の処分にあたり、環境へ放出する場合は、その前の段階であらためて浄化処理(二次処理)を行うことによって、トリチウム以外の放射性物質の量を可能な限り低減し、②の基準値を満たすようにする方針です。
汚染水に含まれる62種類の放射性物質(核種)を取り除くことができるように設計・確認しています。
国の法令では、原子力施設から放射性物質を環境へ放出する場合の告示濃度限度が定められており、その放射性物質は、約1,000種類あります。
多核種除去設備は、汚染水に含まれる放射性物質のうち、人や環境へのリスクの観点で取り除く対象に設定した62種類の放射性物質(トリチウムを除く)を、国の規制基準(告示濃度限度)未満まで取り除く能力を有するように設計しています。
運用を開始した初期の除去が不安定な時期や、周辺環境への影響を第一に考え「タンクに貯蔵する場合の基準」を優先して処理をしていた時期を除き、62種類の放射性物質は、告示濃度限度比総和1未満になると評価(※)しています。
下のグラフは、汚染水に含まれる62種類の放射性物質のうち、「告示濃度限度」に対して放射性物質の濃度が比較的高いものについて、多核種除去設備で浄化処理する前(入口)と後(出口)で濃度を比べたものです。
処理後を見ると、環境へ放出する場合の国の規制基準(告示濃度限度)を下回る濃度まで低減できていることがわかります。
「62種類およびトリチウム」以外の炭素14をはじめとする他の放射性物質の濃度については、基準に照らして十分に低いと評価しています。
(※)多核種除去設備で浄化処理した後(出口)に採取し、分析した結果から評価
多核種除去設備(ALPS)の建屋内において、放射線安全上の問題は発生しておりません。また、周辺環境への影響はありません。
これまでに多核種除去設備(ALPS)の建屋内において、内部取り込みなどは発生していないことから、放射線安全上の問題は発生しておりません。
排気フィルタの損傷に伴う影響については、排気フィルタに損傷が確認された設備の排気配管の表面での汚染にとどまっており、周辺に汚染が拡大していないことを確認しています。
また、建屋出入口での定期的なダスト濃度やスミア測定で有意な上昇が確認されていないこと、構内のダストモニタに有意な上昇が見られていないことから、周辺環境への影響はありません。
国は法令※で、放射性物質を環境へ放出する場合の、核種毎の放射能濃度の上限(告示濃度限度)を定めています。複数の放射性物質を放出する場合は、核種毎に告示濃度限度が異なることから、それぞれの告示濃度限度に対する比率を計算し、その合計値を「告示濃度比総和」とよんでいます。
※東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関して必要な事項を定める告示
国が法令※で定めた、福島第一原子力発電所から放射性物質を環境へ放出する場合の、核種毎の放射能濃度の上限のこと。
※東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関して必要な事項を定める告示
原子力規制委員会は、発電所の敷地内に保管されている、ガレキや汚染水等から敷地境界に追加的に放出される線量(自然界にもともとあった線量を除いて、発電所から新たに放出されて増えた分の線量)を「年間1ミリシーベルト(1mSv/年)未満」に抑えることを求めています。この「敷地境界における実効線量」は、敷地内でALPS処理水等をタンクに貯蔵する際の安全管理の基準になっています。