当社方針
ALPS処理水※1の海洋放出にあたっては、国内法令による安全基準や国際法・国際慣行等に基づいて、人や環境への影響※2を評価・測定し、その安全性を確認するとともに、公衆や周辺環境、農林水産品の安全を確保します。
※1 トリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を確実に下回るまで、多核種除去設備等で浄化処理した水
※2 海洋環境に及ぼす潜在的な影響を含む
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モニタリングの拡充・強化
海域モニタリングをより拡充・強化。農林水産業者や専門家のみなさまのご協力を仰ぎ、客観性・透明性を確保します。
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タンクからの漏洩防止
敷地内タンクの漏えい有無を継続的に監視し、将来の自然災害等に備えて適切に保守管理します。
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情報発信と風評抑制
人や環境への影響に関する情報等を正確かつ継続的に発信し、
風評を受け得るさまざまな産業の生産・加工・流通・消費対策(販路開拓等)に全力で取り組みます。
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適切な賠償
これらの対策を最大限に講じた上でもなお、ALPS処理水の放出に伴う風評被害が生じた場合には、迅速かつ適切に賠償を行います。
海洋放出の工程について
ALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)を行い、トリチウムの規制基準を十分に満たすよう海水で希釈します。
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❶ 再浄化処理
トリチウム以外の放射性物質について、そのまま放出しても規制基準を満たすレベル※まで再浄化処理を行う
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❷ 処理水の分析
第三者分析を行い、トリチウム以外の放射性物質が告示濃度比総和1未満であること、およびトリチウム濃度を確認する

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❸ 海水希釈
トリチウムについて規制基準を十分に満たすよう海水で希釈する
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❹ 海域モニタリング
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放出基準について
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放出水のトリチウムの濃度は、放出前のトリチウム濃度と希釈水量で評価し、1,500ベクレル/リットル未満とします。
この濃度は、国の安全規制の基準※(告示濃度限度)である60,000ベクレル/リットルおよび世界保健機関(WHO) の飲料水水質ガイドラインである10,000ベクレル/リットルを十分下回ります。年間の放出量は、当面、事故前の福島第一原子力発電所の放出管理目標値である年間22兆ベクレルを上限とし、これを下回る水準とします。
なお、トリチウムの年間放出量は、廃炉の進捗等に応じて適宜見直すこととします。※国のトリチウムを含む水の環境放出の規制基準(1リットルあたり60,000ベクレル)は、原子力施設の放水口から出る水を、毎日、その濃度で約2リットル飲み続けた場合、一年間で1ミリシーベルトの被ばくとなる濃度から定められています。
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【参考】自然放射線から受ける被ばく線量(年間平均・日本)は約2.1ミリシーベルト
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再浄化処理(二次処理)について
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多核種除去設備は、汚染水に含まれる62種類の放射性物質(核種)を、環境へ放出する場合の国の基準以下の濃度に低減する浄化能力を持っています。
しかし、設備の不具合等により、環境へ放出する場合の基準を満たしていない処理水(告示濃度比総和1以上)が存在しています。この処理水*は、トリチウム以外の核種の告示濃度比総和が1未満になるまで、再浄化処理 (二次処理)を行い、さらにトリチウムの放出基準を満たすために、十分に希釈した上で放出します。処理水※の告示濃度比総和別(推定)の貯蔵量(2021年9月30日現在)
※「10倍〜100倍」と「100倍〜」は、設備の不具合やより多くの汚染水を処理することに重点を置いてきたことにより発生したもの。割合は小数点以下四捨五入のため、割合の和が100にならない場合があります。
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安全確保のための設備等の検討状況
安全性の確保を⼤前提に、⾵評影響を最⼤限抑制するための対応を徹底するべく、設備の設計や運⽤等の検討の具体化を進めております。

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❶ 測定・確認用設備
ALPS処理水に含まれるトリチウム、62核種、炭素14を希釈放出前に測定(第三者機関による測定を含む)し、62核種及び炭素14が、環境への放出に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化されていることを確認する。
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❷ 希釈設備
海水希釈後のトリチウム濃度が1,500ベクレル/リットル※未満となるよう、100倍以上の海水で十分に希釈する。なお、年間トリチウム放出量は22兆ベクレルを下回る水準とする。
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・海水希釈後のトリチウム濃度は、ALPS処理水の流量と希釈する海水の流量をリアルタイムに監視し、両方の割合で希釈後の水が1,500ベクレル/リットルを下回ることを確認する。
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・海水希釈後のALPS処理水について、放出中毎日サンプリングし、そのトリチウム濃度が1,500ベクレル/リットルを確実に下回っていることを確認し、速やかに公表する。
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・当面の間は海洋放出前の混合・希釈の状況を放水立坑を活用して直接確認した後、放出を開始する。
※告示濃度限度(60,000ベクレル/リットル)の40分の1であり、WHO飲料水基準(10,000ベクレル/リットル)の7分の1程度
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❸ 取水・放水設備
取水設備については、港湾内の放射性物質の影響を避けるため、
港湾外からの取水とする。
放水設備については、放出した水が取水した海水に再循環することを抑制するため海底トンネル(約1km)を経由して放出する。 -
❹ 異常時の措置
希釈用の海水ポンプが停止した場合は、
緊急遮断弁を速やかに閉じて放出を停止する。
また海域モニタリングで異常値が確認された場合も、一旦放出を停止する。-
・緊急遮断弁は、津波対策の観点から防潮堤内に1台、放出量最小化の観点から希釈海水と混合する手前に1台、計2台を設置し、多重性を備える。
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IAEAによる安全性の確認
国際原子力機関(IAEA)の専門家のレビューを受け、
当社の取組をさらに改善・強化していきます。
国際法および国際慣行の観点等から、以下の内容等をIAEAに確認いただきます。
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人及び環境への放射線の影響評価
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設備の設計や運用方法等の安全性
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海域モニタリングの計画と実施状況
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放射能測定の信頼性
当社は、上記に基づいた取組等の情報提供を、IAEAに対して速やかに行います。
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IAEAレビューミッション現場視察(2021年11月)
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IAEAレビューミッション現場視察(2021年11月)
海洋生物の飼育試験
ALPS処理水を含む海水環境において、実際に海洋生物を飼育し、その状況を透明性高く社会へ公開し、ALPS処理水の海洋放出に係る理解の醸成、風評影響の抑制につなげていきます。
飼育試験は、専門家の知見や漁業関係者からお伺いしたご意見を踏まえて行います。
海洋生物の飼育日誌はこちら
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ALPS処理水の海洋放出開始前
海水(水槽1)と海水で希釈したALPS処理水(水槽2)双方の環境下での生育状況等を確認
発電所周辺の海水
(トリチウム濃度
1ベクレル/リットル程度)発電所周辺の海水で希釈した
ALPS処理水
(トリチウム濃度
1,500ベクレル/リットル程度) -
ALPS処理水の海洋放出開始後
海水で希釈され、実際に環境中へ放出された水の環境下での生育状況等を確認
環境中へ放出された水
(トリチウム濃度 < 1,500ベクレル/リットル)
飼育対象予定
[ALPS処理水の海洋放出開始前後とも]
- 魚類
- ヒラメ(30〜40cm程度、あるいはそれ以下)
- 貝類
- 詳細検討中
- 海藻類
- 詳細検討中
公開する情報
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● 健康異常等の有無、飼育水と体内のトリチウムを含む放射性物質濃度の比較等
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● 卵の場合は孵化率、成魚の場合には生存率(または死亡数)
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● 飼育状態のウェブ中継
今後のスケジュール
ALPS処理水の海洋放出の準備・放出開始・放出後の各段階において、継続的な情報発信と関係者の方々との対話に努めながら、安全を最優先に、着実に廃炉を遂行していきます。
