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東京電力からのお知らせ

新聞、テレビ、インターネットなどで取り上げられている話題について、東京電力から解説いたします。

平成18年に保安院から津波による全電源喪失のリスクを伝えられ、必要な対策をとらなかったという事実はありません

平成24年5月16日更新

 「平成18年(2006年)に保安院から津波による全電源喪失のリスクを伝えられていたが、東京電力は必要な対策をとらなかった。」といった報道がありましたが、東京電力が確認している事実関係は以下のとおりです。

平成18年1月~7月 溢水勉強会での議論

保安院と原子力安全基盤機構(JNES)は「溢水勉強会」を立ち上げ、電事連および各電気事業者がオブザーバーとして参加しました。この勉強会では、米国原子力発電所の内部溢水に対する設計上の脆弱性の問題やスマトラ沖津波によるインド原子力発電所の海水ポンプ浸水などを踏まえた検討が行なわれています。この勉強会の成果は、平成19年度原子力安全基盤機構年報で「溢水検討タスク」として公開されています。

平成18年10月 保安院からの要望

勉強会での検討を踏まえ、保安院からは耐震バックチェック計画に関する打合せにおいて「津波については、保守性を有している土木学会手法による評価で良い(安全性は確保されている)。ただし、土木学会手法による評価を上回る場合、低い場所にある非常用海水ポンプについては、機能喪失し炉心損傷となるため、津波(高波、引波)に対して余裕が少ないプラントは具体的な対策を検討し対応して欲しい。(※ 建屋の浸水については、触れられていません)」という要望と、この要望を各社上層部に伝えるように、という話を口頭で電事連が受けています。

当時の東京電力の取り組み状況

東京電力では、保安院からの要望を原子力・立地本部長まで情報共有しました。福島第一原子力発電所については、土木学会手法で評価した津波高さが最大5.7m(最終的には6.1m)で、非常用海水ポンプの設置高さが4mであったため、電動機のかさ上げなどの対策を既に実施しており、安全性は確保されていました。非常用海水ポンプの機能維持については、東京電力としても以前から非常用海水ポンプ電動機の水密化の一環として軸受け部の性能確認などを先行して実施してきていましたが、保安院からの要望も踏まえ、更に非常用海水ポンプ電動機の水密化の実機適用性検討などを自主的に進めることとしました。また、万一非常用海水ポンプが津波で冠水し機能を失ったと仮定しても、福島第一原子力発電所には空冷の非常用ディーゼル発電機が設置されているため、建屋敷地レベルに津波が到達しなければ全電源喪失には至らないと考えていました。

平成19年4月保安院への報告

平成18年10月の保安院の要望に対して、電事連は、それまでの検討結果として

  • 耐震バックチェックでは、土木学会手法による評価結果を報告する
  • 津波に対するプラントの更なる安全性の向上(電動機の水密化など)の検討を行う

ことを報告しました。このとき、保安院から新たな追加指示などはありませんでした。

なお、当時の「溢水勉強会」の中では、全国の原子力発電所からいくつかを選んで、建屋敷地が浸水することを仮定した検討を行なっています。

溢水勉強会での検討状況

  • 浸水は、敷地高さ+1mで無限時間継続すると仮定しました。
  • 建屋敷地が浸水すると、建屋開口部から水が浸入し、電源設備などが水没し機能を喪失するという結果が得られています。
  • ただし、この結果は保安院から指摘されて気付くような知見ではなく、設計上想定していない場所に浸水を仮定すれば、当然の結果として機能を失うものと認識しておりました。この検討は、現実の津波の可能性や蓋然性を考慮せずに、勉強として影響を確認したものに過ぎません。この勉強会の結果は「外部溢水勉強会検討結果について(平成18年8月2日)」としてまとめられています。

溢水勉強会の検討結果と津波高さの想定

  • 津波高さの評価については、土木学会手法で行い、それを耐震バックチェックに反映することについては、その保守性を判断した上で、保安院の了解が得られておりました。したがって、東京電力では、土木学会手法に基づいて保守的な評価を行い、当時発電所の安全性は確保されていると考えていました。また、地震調査研究推進本部の見解や貞観津波の論文の発表など新たな波源モデルが必要になってきたことから、非常用海水ポンプ電動機の水密化などの検討とともに、あらためて土木学会に評価手法の見直しを依頼するなどの対応を並行して進めていたところです。
  • 一方、全国の原子力発電所を見渡してみると、非常用海水ポンプについては、評価した津波高さに対して見かけ上の余裕が少ないプラントがあるため、保安院から追加的な安全性の向上の要望があったものと受け止めています。したがって、保安院からの要望も、建屋への浸水対策など今回のような津波に対する影響を防ぐような対策を念頭においたものではありません。

 今回の地震は、これまでの知見では想定できないような規模のものであり、この地震によって発生した津波の高さをあらかじめ想定できるものではなかったと考えています。しかしながら、結果としてこうした巨大な津波への備えが不十分であり、取り返しのつかない事故を引き起こしたことにつきまして、あらためてお詫び申し上げます。




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