電力需要増の時代に、どう備えるか。
エネルギー転換期における原子力発電所の位置づけ
-Q&Aで読み解く電力のこれから-
Q1.今後の国内の電力需要は?
A.
脱炭素社会の実現に向けて、国内でも工場や車両などの動力源を電気に置き換える動きが進み、生成AI(人工知能)に必要なデータセンターや半導体工場は電気を大量に消費します。
デジタル化(DX)に伴い、これらの施設の新設・増設も相次ぐことから、国内の消費電力量は2034年度までに24年度比で約6%増える予想です。

Q2.国内のエネルギー事情は?
A.
日本は石炭、石油や天然ガス等の資源に乏しい国です。
2023年度の日本のエネルギー自給率は約15%と、極めて低い水準となっています。
東京電力グループは、従来よりも高い水準での「3E+S」※の達成に向けた取り組みを進化させ、「新たな安定供給」を実現していきます。
※「3E+S」とは、日本のエネルギー政策の基本的視点です。Safety(安全性)を前提としたうえで、Energy Security(エネルギーの安定供給)を第一とし、Economic Efficiency(経済効率性の向上)による低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に、Environment(環境への適合)を図るというものです。

Q3.目指すべき電源構成は?
A.
現在東京電力グループの電源構成は、火力発電が大半の8割を占め、次に再エネが続きます。
電力発電で重要なのは、燃料や部材を確実に確保するだけではなく、天候や季節に左右されずに電力を安定的に供給し、脱炭素社会に貢献することです。
電力供給と脱炭素の両立には、特徴が異なる電源を最適な組み合わせで、デメリットを補い合うことが重要です。
政府は2040年度までに再エネ発電を4~5割程度、原子力発電を2割程度まで引き上げる方針を掲げています。

Q4.国内の原子力発電所の再稼働状況と今後の供給予備率の見通しは?
A.
2011年3月、東日本大震災で当社が起こした福島第一原子力発電所の事故以降、国内の原子力発電所は順次停止しました。
これまでに、国内の原子力発電所33基のうち、新規制基準を満たした14基が再稼働していますが、その大半(13基)が西日本に設置されています。
今冬も国内では安定供給できてはいるものの、気温の低下によるエアコンなど電気の使用量の急増や、老朽化した火力発電所などの故障、化石燃料調達に関する地政学リスク等を踏まえると、特に東日本の電力供給は予断を許しません。

Q5.首都圏の電気を支えるうえで、柏崎刈羽原子力発電所はどんな役割を持っているのか?
A.
現在、当社グループでは電力供給の約8割を火力発電に依存し、ほとんどが太平洋沿岸に立地しています。
そのため太平洋側で大きな自然災害が発生すると、電力供給に影響が出る可能性があります。東日本大震災の翌日、首都圏の電力需要が約7.2億kWhに上る中、柏崎刈羽原子力発電所では、1・5・6・7号機が運転を続け、約1.2億kWhを発電しました。これは、首都圏の電力需要の約17%を支えたことになります。首都圏の電力供給に責任を持つ当社として、新潟から首都圏への電力供給を確保するために日本海側に立地する柏崎刈羽原子力発電所を再稼働させることは、レジリエンスの観点から重要な発電設備と考えています。













