再エネの未来を切り拓く
欧州、洋上風力事業への挑戦

2024/03/15

再エネの未来を切り拓く 欧州、洋上風力事業への挑戦

カーボンニュートラル社会の実現が世界的に大きな課題となる中、東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下、RP)では2030年までに国内外で600〜700万kWの再生可能エネルギーを開発するという目標に向け、取り組みを進めています。その一環として、2022年11月、欧州を中心に洋上風力事業を行うFlotation Energy社(英国スコットランド エディンバラ/以下、FE社)の発行済株式の100%を取得しました。海外風力事業への本格的な出資参画の第1号案件です。FE社を通じて、アイリッシュ海Morecambe(モーカム)では着床式洋上風力発電設備の開発を、ケルト海White Cross(ホワイトクロス)では浮体式洋上風力発電設備の開発に注力しています。さらに、FE社はスコットランド沖の2カ所で浮体式洋上風力発電設備を独占的に開発する海底リース権を落札し、現在建設へ向けた準備を進めています。

このプロジェクトの一員として道を切り拓きながら奮闘する3人の若手社員に、ここまでの仕事とこれからの洋上風力事業への想いを聞きました。

2018年に設立された洋上風力事業者であるFE社は、浮体式洋上風力に関して世界有数の知見を有している。
2023年3月、スコットランド沖のGreen Volt(グリーンボルト)およびCENOS(セノス)の海底リース権を取得。

スコットランド沖

東京電力リニューアブルパワー株式会社
業務統括室 総務・法務グループ
兼 海外事業開発室 事業推進グループ

平松 莉沙

2019年入社。東京電力ホールディングス株式会社(以下、HD)で英文契約書のレビューや国際訴訟の対応等の国際法務業務を担当。2022年より現職。異動直後にFE社買収プロジェクトに抜擢され、主に法務デューデリジェンス(投資先の法的リスクを調査・評価すること)を担当。続いて海底リース権入札関連業務では入札図書の法的な精査に当たる。

平松 莉沙

東京電力リニューアブルパワー株式会社
風力部 風力エンジニアリングセンター 浮体技術グループ
兼 海外事業開発室 風力事業開発グループ

大塚 経志郎

2019年入社。大学では土木を専攻し、入社時は信濃川事業所でダム管理や保守業務を担当。2021年4月風力部へ異動。テトラ・スパー型浮体式洋上風力などの技術研究に取り組む。FE社の海底リース権落札後に兼務で商務担当となり、政府主導の初期環境影響評価実施中の海域に対する独占交渉契約を担当。

大塚 経志郎

東京電力リニューアブルパワー株式会社
海外事業開発室
Flotation Energy社 出向
WTG Engineer
Wind Turbine Generator:風車タービン発電機

森山 航太郎

2022年入社。風力部風力計画技術グループに配属され、RPが所有する陸上/洋上風力発電風車の保守・運用を担当。2023年9月よりFE社へ出向。FE社におけるスコットランド案件の風車のエンジニアリングを担当。

森山 航太郎

知識・経験だけでは越えられない、困難の中で目指した目標

平松「私は法務担当として、FE社買収に向けた法的リスクの洗い出しや評価、プロジェクトチームから経営層に示すデータや説明資料のチェックを行う仕事をしていました。HDでの法務の経験はあったものの、風力発電事業に関してはほぼ知識ゼロからのスタートでしたし、大型案件に抜擢されたプレッシャーもあって、必死に勉強しながらの毎日でした。

難しかったのは、法務的な観点だけでなく、風力発電事業の全体像、FE社や当社が今後目指す姿を正確に理解した上で、プロジェクト全体の動きを見ながら契約書や説明資料を細部まで詰めていくことが求められた点です。FE社には洋上風力の専門的なノウハウを持つ技術者が多く、業界自体が若い洋上風力の分野ではそうした人材が非常に貴重です。技術者の方々に引き続き活躍してもらえるような、良い関係を築いていける仕組みを考え、契約書に落とし込んでいくのがポイントでした」

大塚「私は買収完了後、海底リース権を落札する直前に技術担当としてプロジェクトに入り、その後、兼務で商務を担うことになりました。商務は、プロジェクト推進に必要な業務全般を担っていて、各種契約の締結やステークホルダーらとの利害調整、親会社・FE社を含む社内外のすり合わせなど多岐にわたります。その中でも一番大きかったのは「エクスクルーシビティアグリーメント(政府主導の初期環境影響評価実施中の海域に対する独占交渉契約/以下、EA契約)」という、落札した海域の環境影響評価のための調査実施や、それに関する保証提供等を規定する重要な契約の締結でした。

まずこの契約を締結しないと、現場を先に進められません。商務担当としては、契約締結に係る法務や財務、税務面の諸課題に対して、チーム内でさまざまな方の力を借りながら一つひとつクリアにしていくことで、より良い契約文書を作り、無事に締結させることが何より大切でした」

森山「私は現在、FE社への出向でイギリスに赴任中です。担当しているのはスコットランド沖で開発を進めている2案件(Green VoltとCENOS)で、洋上風力発電所建設に向けて、主に風車まわりの設計をしています。英国案件の海底リース権入札では、日本国内の入札とは異なり、採用する風車の形式や基数、配置などを決めずに発電所の概要で札入れを行います。そのため、具体的な仕様は落札後に詰めていくことになります。

風車は着床式の案件で運転が始まりつつあり、近年大型化が進んでいますが、今回の案件のように浮体式で大型風車を多数採用した“洋上ウインドファーム”は、世界においてもまだ例がありません。設計に関するさまざまな検討も前例のないことばかりで、非常にチャレンジングな事業開発だと感じています。しかし、この案件で多くの課題を乗り越えて蓄積した技術・知見は、将来的に日本で活かせることはもちろん、海外展開を含めて新たな事業のチャンスをつかむ武器になると考えています」

知識・経験だけでは越えられない、困難の中で目指した目標

チームで実現した、前例のない事業への第一歩

平松「FE社の買収では、約3カ月という限られた期間で風力発電事業の全体像や英国の制度、法律などを理解する必要がありました。社内的にも前例のないプロジェクトであったため、何をいつまでにどう決めればいいのか、みんなが悩みながら取り組んでいました。とにかく、一つひとつ地道に資料を読み込んでいくしか方法はありません。1人で読むだけではわからないことは、他の部門の方にも知恵を借りて教えてもらうことができたのは、気持ちの面でも一番の助けになりました。逆に、法務の知識を必要とされた時には私も積極的に意見を述べました。こうしたチーム内の横の繋がりが壁を乗り越える大きな鍵になったと思います。

チームには土木系から企画系までさまざまなバックグラウンドを持つ人がいて、お互いに専門性で貢献し合いアイデアを出し合ったから、大きなことを成し遂げられたのだと感じています。いま振り返れば、この3カ月は本当に多くのことを勉強したとても濃密な時間でした」

大塚「私はもともと技術が専門なので、プロジェクトの商務担当というのはバックグラウンドを活かせるポジションではありませんでした。EA契約締結に向けて法務や財務、税務など、必要な専門知識を学ぼうとしたところで、圧倒的に時間が足りません。とても1人でできる仕事ではなく、チームの方々と一緒に取り組んだからこそできたのだと、私も実感しています。

誰もが初めての事業だったからこそ、これまでの知識や経験で押し切ることなく、みんなが謙虚に挑んで、お互いに支え合うことができたのだと思います。私自身も、専門的な部分を人に頼る時には最初から丸投げはせず、まず自分でよく調べた上でわからないところを教えてもらうなど、知識よりも姿勢を大切にしようと心掛けてきました」

森山「私たちは風力発電所の計画を具体化していく中で、実績のない新しい技術も視野に入れる必要があります。建設コストを低減したい一方で、リスクを想定してどこまで冗長性を持たせるかも検討が欠かせません。活況を呈している洋上風力の業界において多忙を極める風車メーカーを上手に巻き込みつつ、社内の電気系や浮体基礎のエンジニアチームとも協力しながらさまざまな検討を進めています。また、私たちの強みは、電力会社として発電所をきちんと保守管理し、安定的に電力を届けることに対する責任、そのマインドを持っているという点だと思っています。設計を進める中でも保守・運用の視点は常に意識しています」

チームで実現した、前例のない事業への第一歩

私たちが築く、洋上風力発電トップランナーへの道

平松「海外での洋上風力発電は、とても夢のある仕事だと思っています。東京電力の“再エネ電気”が地球の裏側で灯るかもしれない、というのはとても革新的なことではないでしょうか。島国の日本では国境を越えて送電することは難しいですし、これまでも海外の水力発電に一部出資したり開発に関わったりしてきましたが、それが“東京電力の電気”かというとそうは言い切れない部分があると思います。それがこの事業では、日本の東京電力グループが主体となってつくり出した“再エネ電気”を、地球の裏側に初めてお届けできるかもしれません。それを想像すると、とてもワクワクしています」

大塚「火力発電・水力発電の技術には長い歴史があり、現在は維持管理の時代に入っています。そんな中、洋上風力発電は今後ますます新規開発が進む分野です。私はその点に、入社時から魅力を感じていました。新規性が高いだけに、1年前に勉強したことがもう通用しないといった経験も多々してきましたが、それはとても面白いことでもあり、だからこそ私たちがトップランナーになっていける可能性を感じています。その最前線に携われることに、とても誇りを感じています」

森山「私は、今後より発展・拡大していく業界に身を置きたいと考えて転職活動をし、当社に入社後、FE社買収が決まった際には「チャンスがあればこの仕事に関わりたい」と上司に希望を伝えていました。そして、その希望がかなった今は、再生可能エネルギー分野の世界最前線で仕事ができていることにとてもやりがいを感じています。しかし、学ぶべきことはまだまだ多くあります。日本での浮体式洋上風力発電はまだ実証段階ですが、日本に戻った際に自分が新規案件の事業開発に大きく貢献できるよう、今の現場で一つでも多くの知見や経験を積んでいこうという使命感を持って日々取り組んでいます」

私たちが築く、洋上風力発電トップランナーへの道

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