新生Jヴィレッジ再始動に懸ける思い

2018/08/07

1997年に日本初のサッカー・ナショナルトレーニングセンターとしてオープンしたJヴィレッジ。
冬でも雪の少ない温暖な気候である福島県浜通りに位置し、サッカーのみならず、さまざまなスポーツのキャンプや、企業の社員研修などにも利用され、15年間でのべ688万人ものお客さまに利用されてきました。
しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故により休業を余儀なくされ、7年の年月を経た2018年夏、再開する運びとなりました。
Jヴィレッジの再生にかける社員の、2018年夏の新たなスタートに向けた取り組みについて聞きました。

東京電力ホールディングス株式会社 原子力・立地本部立地地域部
Jヴィレッジサポートグループマネージャー

溝口 文博さん

1992年4月入社。
埼玉支店春日部営業所お客様センターで窓口業務等を担当したのち、1998年、2007年にJヴィレッジ出向。
その後、猪苗代電力所や富津火力発電所での勤務を経て、2016年より現職。
(肩書・役職は2018年7月当時)

福島原子力事故処理の前線基地として変わりゆくJヴィレッジの姿に・・・。

Jヴィレッジが開業したのは、サッカー日本代表の歴史においても決して忘れることのできない1997年。
この年、岡田監督率いるサッカー日本代表が1998 FIFAワールドカップ・フランス大会のアジア最終予選で、アジア第3代表決定戦をイラン代表と戦って勝利し、FIFAワールドカップ本戦への初出場を決めた。

1998年、日本中でサッカー熱が高まる中、東京電力からJヴィレッジに出向した溝口さんは、FIFAワールドカップ日本男子代表・女子代表や、Jリーグチームのキャンプの企画・営業業務を担当。長崎県の出身で自身もサッカープレイヤーである溝口さんは、入社後もオール東電サッカー部に所属しており、Jヴィレッジで働くことをとても自然に受け入れられたという。

2005年には、東京電力女子サッカー部「マリーゼ」が発足し、なでしこリーグに所属。
この頃、溝口さんは一旦千葉支店へ異動になったが、2007年には再度Jヴィレッジに出向となり、マリーゼ部長を務めた。

部長の仕事は、選手と事業所との服務管理の調整やキャンプ・試合への帯同など。もちろん、選手をはじめとするスタッフたちの様々な相談にものる。
マリーゼの選手はみんな東京電力社員という実業団チームで、午前中はそれぞれの職場で勤務し、午後にグラウンドに集まって練習をする。

この年、マリーゼは2部優勝して1部への昇格を勝ち取り、なでしこリーグカップではベスト4に進出した。
それからは1部で好成績を残し、更なる躍進を目指していた2011年、未曾有の大地震が襲った。

3月11日、マリーゼのキャンプに帯同していた溝口さんは、地震と福島第一の事故の報道を遠く離れた宮崎で信じられない気持ちで見ていた。
まずは彼女たちのメンタルをフォローしながら、自身は飛行機のチケットが取れた3月17日に東京の本店へ戻って状況を確認し、すぐにJヴィレッジに向かうことを決めた。

あとひと月で開幕するところだった。新調したユニフォームに一度も袖を通すことができなかった。選手たちの無念を思いながらも、自分にできる事、やるべきことはJヴィレッジにあると信じていた。
自慢の天然芝のグラウンドに砂利が敷かれ、駐車場になり、ヘリポートとして使われ、タンクが置かれていく・・・。どんどん変わっていくJヴィレッジの姿に、涙が流れることもあった。
しかし、今は福島第一で頑張っている作業員の方々に物資を送り込むこと。一刻も早い事故収束のため、少しでも力になること。何とかしなくてはいけない、自分にできることは何でもやりたいと、がむしゃらに手を動かしている間は、悲しむ暇もなかった。

地域のみなさまの笑顔のために 新生Jヴィレッジに懸ける思い

現在、溝口さんは、オープン後の経営を軌道に乗せるためのサポートを行っている。
新ホテルと全天候型練習場、スケールアップしたJヴィレッジに、一人でも多くの方に来てもらいたい。スポーツをしない方でも、企業研修などのビジネスや観光で快適に過ごせることを、もっと知ってもらいたい。まずは一度、足を運んでもらえれば、Jヴィレッジの魅力を実感してもらえる。一度来た人に「また来たい」と思わせるだけの力があると信じている。と、溝口さんは力強く語る。

2018年7月28日、再始動したJヴィレッジ。
今後、2019ラグビーW杯でアルゼンチン代表が公認キャンプで利用する可能性があること、また、2020東京五輪ではサッカー日本五輪代表(男女)の事前キャンプが行われることが決まっており、来年の春にはJRの新しい駅ができる。双葉郡8ケ町村すべてが、動き出したJヴィレッジに大きな期待を持っている。

Jヴィレッジだけでなく地域全体に足を向けていただき、ここを拠点にI/Uターンを増やしたい。交流人口の拡大に向けた希望となり、一人でも多く、地域のみなさんが笑顔になってもらえるよう頑張りたい。
地域全体の「前進する力」を全力でサポートしていく思いを胸に、溝口さんの挑戦は続いている。

関連情報

  • ナショナルトレーニングセンター
    Jヴィレッジ

  • 東京電力報
    「電気の安定供給に従事する社員が7年ぶりに訪れた、福島第一原子力発電所」

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