第15回「原子力安全・品質保証会議」の開催について
当社は、第15回「原子力安全・品質保証会議」を4月13日に開催いたしました。
本会議は、原子力安全と品質保証に関する取組みについて、有識者の方に、総合的に審議していただくことを目的とするものです。
1.開催日時等
- 日 時
- 平成19年4月13日(金) 13時30分~16時30分
- 場 所
- 東京電力株式会社 本店
- 出席者
- (議 長)矢川 元基 東京大学 名誉教授
- (敬称略)
-
(委 員)犬伏 由利子 消費科学連合会 副会長
鈴木 和幸 電気通信大学 教授
高倉 吉久 東北放射線科学センター 理事
竹野下 喜彦 弁護士
広瀬 弘忠 東京女子大学文理学部 教授
原子力安全・品質保証会議での活動所感 - 【当社側同席者】
勝俣社長、清水副社長、武黒原子力・立地本部長、中村常務、猪野常務、藤原原子力・立地業務部長、西澤企画部長、鈴木原子力品質・安全部長、小森原子力運営管理部長、吉田原子力設備管理部長、鈴木原子燃料サイクル部長、手島原子力品質監査部長、石丸福島第一原子力発電所副所長、高橋福島第二原子力発電所長、千野柏崎刈羽原子力発電所長
2.矢川議長ご挨拶
今回の会議は、データ改ざんの事象が発覚した以降の会議。原子力の改ざんについては様々に報道されている。事象はかなり昔に発生したものもあるが、重要な課題もあるので真摯に対応して欲しい。今回のデータ改ざんは、これを契機として前向きに考え、言わば、たまった不良債権を全て返済するつもりで、全ての膿を出し切ってもらいたい。今回の会議は、我々委員も責任が重いと考えているので、厳しい注文が会社側に出るかもしれないが、しっかりと受け止めてもらいたい。
IPCC(国連気候に関する政府間パネル)において地球温暖化が議論されていたが、エネルギー問題は原子力抜きに語れないし、日本を代表する電力会社として一日も早く正常化を図り、今後のことを前向きに考えていただきたい。
3.議事等
(1)審議事項
1 原子力発電設備におけるデータ改ざん等の調査結果について
原子力発電設備におけるデータ改ざん等の調査結果等を会社側から報告し、審議、了承。
(主なご意見)
- 一般の目線にたち、一般の方が怖いと感じるレベルが、現場の日々の安全基準や対策からのレベルとして反映されているとよい。
- 改ざんの動機が何であるのかを考えなくてはいけない。この改ざんした動機が、仮に倫理に問題ない、安全に特段問題ないと考えた結果により改ざんしていたとしたら、根の深い問題である。
- なぜオープンにしなければならないか、なぜコンプライアンスに沿った対応が必要かの理由を全社員で共有すべきである。一つは原子力の安全の達成に向けたことであり、もう一つは隠すと、他社の例からも会社が潰れるということである。
(総括コメント)
- トラブルなどは、今後も色々な形で発生する可能性がある。これからのことを見据え、予測する力、情報の共有化により早期解決の方法を検討していただきたい。
2-1 原子力発電設備におけるデータ改ざん等に対する再発防止対策について
2-2 データ改ざん等に対する監査の今後の取り組みについて
全社的な再発防止対策、原子力発電設備に関する再発防止対策、及び原子力部門が取り組む再発防止対策に対する監査を会社側より報告し、審議。再発防止対策に対する平成19年度の監査テーマは「原子力発電設備のデータ改ざん等に対する再発防止対策の実施状況と有効性」を了承。
(再発防対策への主なご意見)
- 東電から仕事を請け負っている弱い立場の協力企業から何でも言い出せるような仕組みを考えて欲しい。
- 業務を遂行するにあたり、現場のマニュアルは重たすぎないか。マニュアルは、DVDや画像などを使ってでも本当に必要なところ、重要な箇所がわかることが大切である。マニュアルは、固有技術を組織知にする媒体なので、効果的に活用できる工夫をお願いしたい。
- 制御棒の引き抜けなどBWROG(BWR事業者協議会)で議論されると思うが、今後はそこに規制側の参画を促し、許認可問題、効率的な発電所運営、新材料への対応をテーマに議論し、原子力立国としての将来性を高めて欲しい。
- 平成14年10月に企業倫理相談窓口を設置しているが、件数や実効性から見て、うまく機能したのか。また、十分に周知されているのか。内部通報制度では、各階層から申告を出やすい仕組みへの工夫が必要とともに、申告の匿名性は保証して欲しい。
(監査の取り組みへの主なご意見)
- 原因究明で抽出された問題点が除去されているの浸透度合いについて、グループディスカッションやヒアリングなどの手法で監査の始めに確認してもらいたい。
- 発電所で働く人が自ら予測することや未然防止を学習し、解決することで、現場に活力が与えられている状況を見てもらいたい。
(総括コメント)
- 再発防止対策は概ね妥当と思われる。今後予定している監査を通じ、再発防止策を具体的に評価し、その結果を次回会議で報告していただきたい。
3 第14回原子力安全・品質保証会議議事録の確認について
議事録について審議、了承。
4 平成18年度本店・発電所原子力品質監査の実施状況と今後の取り組みについて
平成18年度品質監査活動の実施状況と評価、及び平成19年度品質監査活動の方向性を会社側より報告し、審議、了承。
5 平成18年度上期テーマ監査結果に基づく課題等のフォロー状況について
会社側より報告し、審議、了承。なお、会議における主なご意見等については、今後、フォローアップを予定。
(2)次回の予定
- 第16回会議は、今年12月頃、本店において開催予定。
以 上