バイオマス発電や自治体等のインフラ維持管理サービスに向けた共同事業、その強みとは?

2017/03/27

東京電力グループのプレスリリースをわかりやすく解説します。

2017年2月28日、東京電力フュエル&パワーは、JFEエンジニアリングと共同で、再生可能エネルギーおよび自治体等インフラサービス分野における共同事業の実施に向けた基本合意をしました。
両社は、今後、(1)廃棄物処理・リサイクル、(2)下水汚泥の燃料化、(3)バイオマス発電、(4)自治体等が運営するインフラ施設向けサービス、の4つについて両社で協議し、(1),(2),(3)を包括した再生可能エネルギーの燃料化・発電事業、(1),(2),(4)を包括したインフラサービスソリューションの2つの事業展開を想定しています(イメージ図)。

火力発電により電気をつくる、東京電力フュエル&パワー。エネルギー・環境分野や都市インフラ分野などで、エンジニアリング事業を展開するJFEエンジニアリング。
異業種の二社が、なぜ共同事業を?二社が一緒に事業展開することで、どんなことが実現できるの?プレスリリースをわかりやすく解説します。

バイオマス・廃棄物発電のトータルソリューションサービス

バイオマスは出力が安定した、クリーンなエネルギー

再生可能エネルギーの一種であるバイオマス・廃棄物発電は、樹木・エタノール・食品廃棄物・下水汚泥などをエネルギー源として利用するもので、太陽光発電のように天候により発電量が変動することなく、安定した発電が可能です。なかでも植物由来のバイオマスは、CO2を排出しないクリーンなエネルギーとして注目されています。
実際には、燃料として燃焼する際にCO2が排出されますが、木々の生育過程で大気中のCO2を吸収していることから、プラスマイナスがゼロになる「カーボンニュートラル」なエネルギーと考えられています。

バイオマス・廃棄物発電は、経済産業省が2015年7月にまとめた2030年の「エネルギーミックス」では、再生可能エネルギーで水力(8.8%~9.2%)、太陽光(7.0%)に次ぐ3番目の規模(3.7%~4.6%)になる見通しです。
燃料さえ確保できれば安定的に出力できるため、今後、積極的に拡大していく方針が掲げられていますが、原料となるバイオマスを長期的に安定して確保することが課題となっています。

下水汚泥のエネルギー利用が進めば循環型社会を構築できる

今回の基本合意で協議事項に含まれている「下水汚泥」も、バイオマス発電の燃料の一つです。
ところで、下水施設から排出される下水汚泥がどのように処理されているかご存じですか?現在、下水汚泥のうち約74.8%が建設資材として再利用されたり埋め立てられて処理されています。バイオガスや汚泥燃料などとしてエネルギー利用されているのは、それぞれ約12.8%及び約2%。残りの10.3%は緑農地で利用されています(国土交通省「資源・エネルギー循環の形成」)。
2015年7月には下水道法が一部改正され、公共下水道管理者が下水汚泥を燃料や肥料として活用する努力義務が追加されました。法改正により、これまで燃料として活用されていなかった下水汚泥の燃料化ニーズが増していく見通しです。

電力会社とエンジニアリング会社のノウハウを融合

東京電力フュエル&パワーグループは、バイオマス燃料の開発や、燃料加工設備の計画、設計、施工及び運転・保守などをしています。また、JFEエンジニアリングでは、下水処理・汚泥燃料化ビジネスを展開しており、近年では、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの販売も手がけています。
つまり、二社のノウハウを融合することで、下水汚泥などの燃料化によるバイオマス燃料の調達、プラントの計画・建設、運転・保守、販売までのバリューチェーンを構築でき、トータルソリューションサービスの提供が可能になります。
今後ますます導入が見込まれるバイオマス発電。そこに、下水汚泥の燃料化の技術を掛け合わせれば、いま、社会で求められているニーズにお応えすることが可能です。二社のノウハウ・強みを活かした、新しいサービスを提供します。

自治体等に対する「インフラサービス」ってなにするの?

インフラ設備の運営に関する技術的支援の包括的サービス

上述したように、東京電力フュエル&パワーとJFEエンジニアリングのノウハウを融合すると、設備の計画・建設から運転・保守までのトータルソリューションが可能になります。
たとえば、災害に強い地域インフラを構築するためにはどうしたらよいか。設備の計画建設から運転・保守までのノウハウを融合すれば、建設時の注意点や災害時の対応策など、幅広いソリューションの提案が可能です。また、長年の発電所運営の実績を活かし、インフラ設備の運営に関する技術支援など、技術承継に悩む自治体に対する支援をはじめとする新しいサービスの提供が可能になります。

社会的課題の解決を目指す、新たなバリューチェーンの構築へ

電力会社とエンジニアリング会社の戦略的アライアンスだからこそ実現できる

東京電力フュエル&パワーは火力発電の運営とメンテナンス事業で培ったノウハウがあります。
JFEエンジニアリングが有する設備建設のノウハウと融合し、廃棄物処理・リサイクル、下水汚泥、木質バイオマスなど低炭素資源の燃料化から発電までのバリューチェーンを構築し、化石燃料の使用量およびCO2排出量の削減を実現します。
また、上下水処理場やゴミ処理施設などのインフラの建設から運転・メンテナンスまでのバリューチェーンでも、災害に強い地域インフラの構築や技能伝承などの支援を行い、老朽化の進むインフラの維持管理などを行っていきます。
2016年11月に発効したパリ協定。今後は、世界的に低炭素化にシフトしていきます。
2060年までに人口が1億人を割り込む推計の日本。今後は、公共インフラの維持管理の効率化がより一層必要になっていきます。
東京電力フュエル&パワーとJFEエンジニアリングの強みを活かしたバイオマス発電と施設運営に係るバリューチェーンを構築し、事業運営を通じて、地球環境問題や日本の社会的課題の解決に寄与していきます。

関連情報

  • プレスリリース 2017年2月28日
    再生可能エネルギーおよび自治体等インフラサービス分野における 共同事業実施に向けた基本合意について

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