【前編】20年、30年先を見据えた住宅づくりで脱炭素化を推進

2023/05/11

【前編】20年、30年先を見据えた住宅づくりで脱炭素化を推進

エネルギーをいかに効率的に運用するかは、脱炭素社会実現の観点からも非常に重要で、昨今、一般家庭においても長期的な視点でこの課題に向き合うことが求められています。こうした中、東京電力エナジーパートナー株式会社とTEPCOホームテックは、住友不動産株式会社との協働で「脱炭素リードプロジェクト」を始動。脱炭素社会の未来を見据えた取り組みを進めています。今回は住友不動産企画部ESG推進室の池大樹さんを迎えて、プロジェクトの詳細や今後の展望を語り合いました。

住友不動産株式会社
企画部ESG推進室

池 大樹

入社後、ビル事業本部に所属し、各ビルにおけるエネルギー契約業務ほかを担当。その後は企画本部で経営管理等を担当したのち、ESG推進室に異動、すみふ×エネカリの開発ほかに携わる。

池 大樹

東京電力エナジーパートナー株式会社
販売本部 法人営業部 都市事業ユニット 課長

亀田 健一

2008年入社。入社時は東京支店で法人のお客さまの電気契約対応を行う傍ら、当時シンボリックスポーツだった長距離・駅伝チームで活動、ニューイヤー駅伝にも出場した。2011年の震災以降は、銀座支社で主に千代田区内の法人のお客さま、2015年からは本社法人営業部で不動産・総合商社・金融業界へのエネルギーソリューションやエネルギー供給事業等の企画提案、アライアンス推進に携わる。

亀田 健一

東京電力エナジーパートナー株式会社
販売本部 カーボンニュートラル推進部
再エネ事業開発第一グループ マネージャー

安保 陽平

2006年入社。入社時は神奈川支店にてハウスメーカーを中心に住宅事業者さまへオール電化住宅提案を実施。その後一貫して家庭分野のエネルギーソリューションに携わる。2020年よりCN推進部に配属。主に法人のお客さま向けに再生可能エネルギーを活用した電力メニューの開発を実施。

安保 陽平

TEPCOホームテック株式会社
経営戦略本部
サービス企画担当 部長

杉原 広央

1999年東京電力株式会社に入社。福島第一原子力発電所の耐震設計など、発電所の建築設計業務に関わった後、事業開発部で新事業会社の立上げに携わる。
2011年の震災以降は、原子炉建屋カバーの設計や汚染水対策など廃炉の推進に取り組んだ後、2017年より現職。TEPCOホームテック株式会社の設立時から商品開発・営業推進を担う。

杉原 広央

デベロッパーとともに考える脱炭素の未来

亀田「池さんとは、住友不動産さんが管理される物件の電気契約などを通じて接点がございました。そうした中で、2021年4月、池さんから持ちかけられた脱炭素施策についての相談、それが『脱炭素リードプロジェクト』が動き出すきっかけとなりました」

「総合デベロッパーとして、脱炭素施策を考えていく上で“建物にどのようなエネルギーが供給されるのか”は重要なファクターであり、エネルギー分野で最も知見を有する東京電力エナジーパートナーさんに『一緒に革新的なものを創っていきませんか』と相談を持ちかけました」

デベロッパーとともに考える脱炭素の未来

都内に約230棟のオフィスビルを保有・運営する住友不動産さんと東京電力エナジーパートナーは電気契約において密接にやりとりがあり、池さんはその重要な橋渡し役を務めてきた

亀田「デベロッパー業界トップの住友不動産さんから脱炭素施策の相談をいただけたことは異例で、大変ありがたい話でした。池さんは当初から提携のイメージを用意されていて、そのイメージを基に当社のカーボンニュートラル推進部とともに枠組みや細部の肉付けを行っていきました」

安保「カーボンニュートラル推進部では、これまでも企業の脱炭素への取り組みを提案・サポートしてきました。その中でも住友不動産さんのご要望は、デベロッパーとして単に太陽光発電所の建設や、環境価値付きの電気を購入するのではなく、“お客さまと一緒に脱炭素に取り組んでいきたい”というもので、とても印象に残っています。その思いに応える方法として、“お客さまのもとで生み出せる環境価値を提供できないか”とディスカッションしていく中で、TEPCOホームテックが提供するエネカリを軸とする具体案が浮上してきたのです」

「脱炭素リードプロジェクト」における協力体制。

「脱炭素リードプロジェクト」における協力体制。「これまで接点の少なかったリフォーム事業へのサービス展開も視野に入れることで、脱炭素社会の実現に向け当社にとってもミッション遂行の重要性が大きく高まった」(亀田)

住友不動産・東京電力エナジーパートナー「脱炭素リードプロジェクト協定」
https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2021/1638075_8666.html

お客さま目線でのサービス向上を実現

杉原「エネカリは、一般家庭の戸建住居に太陽光発電システムや蓄電池、給湯器などの設備機器を初期費用0円で提供し、月々の利用料を支払っていただく省エネ視点のサブスクリプション型サービスです。特に新築住宅を購入される方は、経済的負担により省エネ設備の導入を見送られるケースが多いですが、エネカリなら初期導入費用を負担することなく、それらの機器を利用することができ、サービスとしても好評です」

「エネカリの利用期間は、通常10~15年間ということだったのですが、当社の住宅に対しては『お客さまがお住まいの間ずっとサポートを受けられるような、他にはない“+α”の価値を付けられませんか』とお願いしました。というのも、お客さまの視点で考えた際、お住まいの間にサポートが終了した機器が屋根の上に乗り続け、不具合があれば自分で何とかしなければならない状況というのは非常に不安だと考えたからです。私どもとしては、“お客さまがお住まいの間は一切心配いりません、ずっと見守ります”という価値を提供したかったのです」

エネカリの概念イメージ。

エネカリの概念イメージ。家庭ごとに電気をつくって、ためて、家庭内のエネルギーを上手に運用し、災害への備えや脱炭素化による環境価値の創出を提案している

エネカリ・・https://www.tepco-ht.co.jp/enekari/index.html

杉原「住友不動産さんの考えに触れて、住宅事業者がいかに施主さまの視点に立った思考を持たれているか、また当社も、省エネ設備の提供を通じて家づくりに関わっているということに改めて気づかされました。その上で、ただ連携するだけではなく、『脱炭素リードプロジェクト』としての独自性、先導性、先進性を付加しなければと、3社で幾度も協議・調整を重ね、住友不動産専用の新概念、エネカリをつくり上げるに至りました」

お客さま目線でのサービス向上を実現

「議論を重ねるうち、エネカリの新たな可能性に気づき、幾通りものライフサイクルコストのシミュレーションを経て、自信を持って提供できるサービスコンセプトに帰着できました」(杉原)

「相談から5か月弱の2021年9月に『脱炭素リードプロジェクト協定』を結び、プロジェクト第1弾として、お住まいの間ずっと省エネ設備のサポートが受けられる『すみふ×エネカリ』のサービスを始動しました。脱炭素・省エネ思考のお客さまが増えるなど時代の潮流もあり、契約数は順調に伸びています」

すみふ×エネカリ・・https://www.tepco-ht.co.jp/release/1116.html

杉原「想定した契約数の目標値も早期に達成でき、住友不動産さんが提案されたサービスコンセプトが正しかったことが、改めて証明されました。今回のようなサービスを組み立てる機会は、私どもだけではなかなか得られませんし、私どもが持ち得ない視点からサービスの在り方を考え直す機会をいただけて、本当に貴重なミッションだったと思います」

【後編】では、「脱炭素リードプロジェクト」のさらなる展開と、電力の“地産地消”を巡る話題を深掘りしていきます。

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