目的

オフグリッド(※1)系統における電力供給は、主にディーゼル発電機で行われています。しかし、再エネ増加に伴い、今後は再エネ主電源でのオフグリッド運用も想定されます。
これまで再エネ主電源時の系統運用への影響について様々な検討が行われてきましたが、特に再エネ100%供給時の短絡事故の際の影響について、具体的に検討した事例は報告されていません。
当社では、再エネ主電源化も見据え、最も系統運用上厳しい再エネ100%供給時のオフグリッドでの短絡保護への影響と対策を検討しています。

  • ※1 オフグリッド:

    他の送電網・配電網につながっていない系統

概要と成果

オフグリッド系統において、ディーゼル主電源時、再エネ主電源時の短絡事故の影響についてシミュレーション評価を行いました。
再エネ主電源は、短絡時に供給される電流が小さく、現状の過電流保護リレー(※2)(OCR)では、検出できないことが分かりました(図1)。

  • ※2 リレー:

    電力系統で発生した異常を検出し、遮断器などへ情報を伝えて異常箇所を切り離し、影響を最小限に抑える装置

「ディーゼル主電源」「再エネ主電源」の際の短絡事故発生時のイメージ

図1 「ディーゼル主電源」「再エネ主電源」の際の短絡事故発生時のイメージ

オフグリット系統では、天候や時間帯によって、ディーゼル主電源、再エネ主電源の両者での運用が起こりえるため、どちらが主電源であっても対応できる短絡保護技術を確立する必要があります。
検討の結果、現状の過電流保護リレー(OCR)に、以下3つのリレーのアンド条件を付加することにより、ディーゼル主電源、再エネ主電源の両方の場合の短絡事故を検出できる見通しを得ました(図2)。
図2のロジックを適用したリレーユニット(図3)を試作し、検証を進めています。

  • INV過電流リレー : インバータ(※3)の過電流状態を検出
  • 線間不足電圧リレー : 変電所内での不足電圧を検出
  • 配電線過電流リレー : インバータ主電源時の配電線過電流を検出
  • ※3 インバータ:

    再エネ電源(直流)を交流に変換する装置

「ディーゼル主電源」「再エネ主電源」の際の短絡事故発生時のイメージ

図2  オフグリッドでの短絡保護シーケンス

取付け箇所としては、過電流保護リレー(OCR)が内蔵されている制御盤(図4)内のリレーユニット(図3)に、上述のリレーを追加することを予定しています。

共同研究(開発)者

東京電力パワーグリッド株式会社

成果の適用先・事例

  • 国内・海外のオフグリッドへの展開を想定してます。

担当部署

経営技術戦略研究所 技術開発部 次世代電力インフラエリア

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