2017年12月19日
東京電力ホールディングス株式会社

 当社は、一部の社員による時間外労働の過少申請を確認(対象期間2017年1月~11月)したことから、本日、当該社員の労働時間の訂正および本件の発生原因について、中央労働基準監督署(以下「同労基署」)へ報告しましたのでお知らせいたします。

 2017年4月に当社社員より、原子力発電所の新規制基準適合性審査に対応する本社部門における時間外労働の実態に関し、内部通報がありました。これを受け当該部署の社員を対象に時間外労働に関する調査(ヒアリング調査、業務用PCのログデータ確認)を行った結果、2017年1月から11月までの期間において、調査対象者56名中17名が時間外労働を過少申請していたことを確認いたしました(過少申請分:最大70時間/月・人、平均13時間22分/月・人)。
 なお、これらの社員に対しては産業医による面談および健康診断を実施しており、いずれも現時点で今後の就労について支障がないことを確認しております。

 当社は、2016年12月、同労基署より「過重労働による健康障害防止」に関する改善指導を受けており、社長を委員長とした「働き方を考える委員会」を2017年2月に設置し(以降8回開催済)、働き方改革に取り組んでおり、これまでにも当該部署を含む全社員に対し、長時間労働の是正や労働時間管理の徹底を指示するとともに、当該部署への人員の増強等、労務環境の改善を図ってまいりました。
 しかしながら、こうした中にあって、今回のように適正な労働時間管理が出来なかったことを重く受け止めており、関係する役員に対する人事措置を実施いたしました。

 本件の概要は以下のとおりです。

1.発生原因
・新規制基準適合性審査に取り組む中で発生した多くの課題に対し、速やかな対処を経営層が求めたことから、当人らは定められた労働時間の制限を守ることが難しいと感じながらも、目前の業務をやり遂げることを優先した。
・繁忙度が高い業務に人員を増強したが、これらの業務に関する事前研修の不足等から、十分な負担軽減につながらなかった。
・当人らの服務管理者が不適切な労働時間申請に気づくことができなかった。

2.再発防止対策および今後の対応
 (1)再発防止対策
・原子力部門に限らず、今後もさまざまなプロジェクト対応が求められることから、機動的にリソース(能力・要員数)を配置できる仕組みを構築する(準備中)。
・業務のプロセスカイゼンを実施し、業務量・要員数を十分考慮するとともに社員の健康・安全を今まで以上に優先した業務設計を実施する(2018.1~)。
・管理職のマネジメント強化のための研修・育成を実施する(2017.12~)。
・人財育成や教育等、長期的な育成体制を整備する(準備中)。
・業務用PCのシャットダウンシステムを導入する(2018.1~)。

 (2)今後の対応
 同様の事例の有無について全社員を対象に調査を進めてまいります。また、調査において時間外労働の過少申請を確認した社員に対しては、速やかに賃金精算を行ってまいります。
 当社は、この度の時間外労働に関する過少申請を重く受け止め、法令の遵守および社員の健康と安全の確保に一層努めてまいります。

3.人事措置
 原子力部門の長として行うべき、法令遵守浸透に向けた指揮・監督および適正な労働時間管理に向けたマネジメントが十分でなかったため、以下の通り、人事措置を行いました。
・常務執行役原子力・立地本部長  牧野 茂徳   厳重注意
・原子力技監           姉川 尚史  厳重注意
※本年6月まで原子力・立地本部長

以 上

<参考>