プレスリリース 1999年

「お客さま設置用200キロワット級NAS電池システム」の運転開始について

-初めてのお客さま所有建物設置用NAS電池システム-



                            平成11年9月29日
                            東京電力株式会社

 当社は、鉛電池に比べ電力貯蔵密度が約3倍と高くコンパクトで、自己放電の
ない、長寿命な「NAS電池(ナトリウム-硫黄電池)」の研究開発を昭和59年
度から日本ガイシ株式会社と共同で進めてまいりましたが、このたびお客さまが
自ら所有する中小ビル・工場内に設置するケースに適した「お客さま設置用200
キロワット級NAS電池システム」を開発し、当社技術開発センター(神奈川県
横浜市鶴見区)に設置して、本日から実証試験を開始いたしました。

 NAS電池は、深夜に電気を充電・貯蔵し、昼間のピーク時などに放電を行う
もので、揚水式水力発電所と同様の機能を果たすことができ、しかも、都市部な
どの需要地やその近傍に設置できるのが特長です。昼夜間の格差が大きい電力負
荷の平準化や電力設備の効率的運用に役立ち、設備投資の抑制につながるほか、
風力や太陽光発電などの自然エネルギーと組み合わせて、不安定な電源を安定化
したり、非常時の電源として活用したりすることもできます。

 このたび実証試験を開始した「お客さま設置用200キロワット級NAS電池シス
テム」は、これまでの当社研究成果をふまえて4つのモジュール電池それぞれの
中に約400個セットされている「単電池」の容量を約2.5倍(480ワットアワー→
1220ワットアワー)に大きくするとともに、モジュール電池をスケールアップ
(25キロワット→50キロワット)することによって、同出力の従来品に比べ全体
で約2割のコンパクト化を図るなど、一般の需要家建物内に設置するのに適した
ものとするため工夫を凝らしています。

 また、このたびの設置は、NAS電池の建物内設置に関する消防庁からの規制
緩和の通知(平成11年6月)を受けて、既設ビル内への設置や遠隔監視を行う初
めてのケースです。

  すでに、当社はNAS電池についてこれまでの研究を通じ、分散型電源として
必要な充放電効率や安全性など技術的な検証を終えていますが、今後は今回設置
のシステムに加えて、変電所設置用の2000キロワットNAS電池システムや建物
内地下設置用の200キロワットNAS電池システム等も順次運転開始し、2年程
度をかけてさらなる研究・検証を集中的に重ねることによって、実用化・普及に
向け、残された課題である経済性の向上について可能性を見極める予定です。

                                       以 上
(参 考)
                                 
「お客さま設置用200キロワット級NAS電池システム」の概要

(1)開発主体

  ○東京電力株式会社
   <開発目標・仕様の決定、実証試験の実施、成果の評価>
   ・社 長:南 直哉
   ・住 所:東京都千代田区内幸町1-1-3
   ・電 話:03-3501-8111
  ○日本ガイシ株式会社
   <開発仕様に基づいた単電池、モジュール電池の開発>
   ・社 長:柴田 昌治
   ・住 所:愛知県名古屋市瑞穂区須田町2-56
   ・電 話:052-872-7181

(2)NAS電池システム仕様

  ○NAS電池本体仕様
   ・製造者  日本ガイシ株式会社
   ・容量   200kW×8時間出力(50kWモジュール電池×4台)
   ・外形寸法 W2.65×D2.3 ×H3.42m
  ○交直変換装置
   ・製造者  日新電機株式会社
   ・電圧   AC415V
   ・変換素子 IGBT
   ・制御方式 自励式3相PWM制御
   ・外形寸法 W2.1 ×D1.5 ×H2.1 m
  ○設置費用    約3億円
  ○設置場所  東京電力技術開発センター第2研究棟1階 
         NASシステム室
         (システム室面積 58平方メートル)

                                                      以 上



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