プレスリリース 1999年

原子力発電所西暦2000年問題対策に関する報告について



                            平成11年6月21日
                                                      東京電力株式会社


 当社では、かねてより「西暦2000年問題」を経営の最重要課題と位置づけ、社
内に「西暦2000年問題対策委員会」(委員長:川崎副社長)を設置して、原子力発
電所をはじめとする業務全般にわたって計画的に的確な対応を進めております。
 先般、通商産業省から要請を受け、福島第一原子力発電所6号機と柏崎刈羽原
子力発電所7号機を対象に西暦2000年問題への対応状況等について検討した結果
を報告いたしましたが(4月26日)、このたび上記2プラントも含めて当社の全
17プラントについて同様に検討した結果をとりまとめ、通商産業省へ報告いたし
ました。

 当報告の内容は別紙のとおりですが、調査の結果、西暦2000年問題が生じる可
能性のある設備は「監視系」のシステムであり、発電機などの「制御系」システ
ムにおいてはこの問題が発生しないことを確認いたしました。

 このたび電力各社がこうした報告を行ったことを受け、「原子力発電所2000年
問題調査委員会」(通商産業省が設置した第三者機関)がそれらの内容を確認し、
本日、通商産業省は同調査委員会の最終とりまとめを発表しました。当とりまと
めでは、国内全プラント(51プラント)の西暦2000年問題に関する取組み状況に対
して専門家等が検討を行った結果、「改修作業等が適切に行われており、その対
応は妥当である」との評価を受けています。

 今後当社では、対策が必要なシステムの改修を、平成11年10月末までにすべて
完了する予定です。あわせて、同じく10月末までにすべての原子力発電所におい
て、2000年1月1日等を模した模擬試験を実施する予定です。

                                  以 上

(別 紙)

           原子力発電所における西暦2000年問題影響調査報告書について

1.当社原子力発電所におけるシステム
  当社の原子力発電所には、電力供給を制御する制御系システムと各種事務処理
を行う事務処理系システムがある。このうち制御系システムについては発電機制
御などの制御機能とプラントの状態を監視するなどの監視・記録機能があるが、
西暦2000年問題が懸念される日付情報を使用しているものは制御機能にはなく、
一部の監視・記録機能でのみ記録などのために使われているだけである。また、
この監視・記録機能がダウンしたとしても、電力供給の制御には影響はなく、
プラントの運転についても制御機能に付属しているアナログの監視装置を使って
継続することができる。

2.調査報告対象系統、機器
 調査報告対象は、原子力発電所で使用している原子炉給水制御系の機器や制御
装置など安全上重要なシステム装置(注1)を対象として、調査を行い報告した。

3.調査方法
 調査体制及び調査手順を明示するとともに、ソフトウェアおよびハードウェア
ごとの調査方法について具体的に報告した。
a.ソフトウェアの調査方法
  基本ソフト(OS)等すべてのソフトについて、プログラムから2000年問題
 が発生するおそれのある「年月日情報」の使用箇所を洗い出し、西暦2000年問
 題が発生するかどうかを確認している。
b.ハードウェアの調査方法
  ハードウエア製作時に使用した設計図などから「年月日情報」を処理するI
 C(リアルタイムクロック)を搭載しているかどうか、および西暦2000年問題
 の発生するかどうかを確認している。

4.調査結果
 調査の結果、西暦2000年問題が生じる可能性のある設備は「監視系」システム
(プロセス計算機(注2)、安全パラメータ表示システム(注3)、モニタリン
グポスト(注4))であり、「制御系」システムおよびその他の「監視系」シス
テムでは西暦2000年問題は発生しないことが確認できた。
 なお、調査結果については、抽出したデジタル機器すべてについて、機能・役
割、重要度、メーカ名、型式、出力影響の有無、リアルタイムクロックの有無、「年月日情
報」の使用有無、西暦2000年問題発生の有無、対策内容、対策時期を一覧表にし
て報告した。

5.対策
 西暦2000年問題が発生する「監視系」システムについては年号を扱うプログラ
ムをすべて改修する。
 また、改修作業完了後、西暦2000年問題に係わる日付(クリティカルデイト)
を模擬入力し、システムにおいて西暦2000年問題をはじめとする異常が発生しな
いことを確認している。

                                 以 上

(注1)原子力安全委員会作成の「発電用軽水炉原子炉施設の安全機能の重要度
   分類に関する審査指針」をふまえて、日本電気協会の電気技術基準調査委
   員会が作成した「安全機能を有する計測制御装置の設計指針(JEAG4611)」
   に示してある、原子炉給水制御系、原子炉再循環流量制御系、原子炉圧力
   制御系等の各計測器や制御装置。

(注2)種々のプラントデータを収集、記録し、プラント性能の計算を行うとと
   もに、操作・監視のための各種情報を運転員等に提供(表示、記録出力等)
   するための装置。

(注3)プラント運転上必要な各種安全データを採取し、運転員等に表示するた
   めの装置。

(注4)原子力発電所周辺地域の放射線量を測定する装置。測定したデータを収
   集、記録し、そのデータを関係各所へ提供する機能も付属。




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