プレスリリース 2010年

調整運転中の福島第一原子力発電所1号機の原子炉の計画停止に関する調査結果について

                             平成22年9月22日
                             東京電力株式会社

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<概要>
(事象の発生状況)
 ・平成22年8月12日、調整運転中の福島第一原子力発電所1号機のタービン建屋
  1階床面に放射性物質を含む水が滴下していることを発見いたしました。
 ・高圧タービン蒸気出口側タービン軸封部付近からの漏えいを確認いたしました
  ので、8月21日より原子炉の停止操作を行います。
                  (平成22年8月13日20日お知らせ済み)
(調査結果)
 ・軸封部ケーシングの合わせ面に蒸気による浸食と見られる漏えい痕および表面
  の凹凸が認められたこと。
 ・今回の定期検査において、ケーシング合わせ面が均一であることの確認を行わ
  なかったこと。
 ・油砥石でケーシング合わせ面の磨き作業を行ったことにより、軸封部ケーシン
  グの合わせ面に微小な凹凸が生じた可能性があること。
(推定原因)
 ・軸封部ケーシングの合わせ面に微小な凹凸が生じていた可能性があり、この状
  態で組み立てたため、調整運転時に軸封部ケーシングの合わせ面に蒸気が浸入
  し浸食が進行したことにより、漏えいが発生したと推定いたしました。
(対策)
 ・今後、タービン分解点検において、ケーシング合わせ面が均一であることを確
  認することとします。
(今後の予定)
 ・準備が整い次第、制御棒の引き抜き操作を開始し、原子炉を起動する予定です。

詳細は以下のとおりです。
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1.事象の発生状況
  調整運転中の当社福島第一原子力発電所1号機(沸騰水型、定格出力46万キロ
 ワット)において、平成22年8月12日午後4時30分頃、高圧タービンのケーシン
 グ下部近傍からタービン建屋(管理区域*1)1階の給水加熱器*2エリア付近
 に放射性物質を含む水が滴下していること(約3秒に1滴程度)をパトロール中
 の当社社員が発見いたしました。
  漏えいした水は、タービン建屋1階の床面に溜まっており、漏えい量は約10ミ
 リリットル、放射能量は約4ベクレルでした。なお、漏えいした水は拭き取りを
 実施し、水受けを設置しております。
  現在も水の滴下は継続しているもののごく微量であり、増加傾向は見られない
 こと、また、当該エリアの放射線モニタの指示値は通常の変動範囲内であること
 から、ただちに運転に影響を及ぼすものではありません。
  今後、プラントの安全・安定運転に万全を期すため、漏えい箇所の調査を行う
 とともに、準備が出来次第、原子炉を計画的に停止することといたしました。
                     (平成22年8月13日お知らせ済み)
  その後、高圧タービン下部のケーシング近傍における漏えい箇所の調査を行っ
 てまいりましたが、蒸気出口側タービン軸封部*3付近からの漏えいを確認いた
 しましたので、8月21日より原子炉の停止操作を行います。
                     (平成22年8月20日お知らせ済み)

2.調査結果
  調査の結果、以下のことがわかりました。
  ・高圧タービンケーシングの合わせ面について点検した結果、蒸気出口側ター
   ビン軸封部ケーシング(以下「軸封部ケーシング」という)の合わせ面にお
   いて、蒸気の漏えい痕および表面の凹凸が認められ、合わせ面が均一でない
   ことを確認したこと。また、軸封部ケーシング以外のケーシング合わせ面に
   ついては、同様の不具合は確認されなかったこと。
  ・これまでの各定期検査で、ケーシング合わせ面の磨き作業を油砥石*4で行
   っていたものの、その後、当該部が均一であることの確認を、平成8年度以
   降に実施した5回の高圧タービンの分解点検においては、行わなかったこと。
  ・ケーシング合わせ面を油砥石で磨き作業したことにより、軸封部ケーシング
   の合わせ面に微小な凹凸が生じた可能性があること。
  ・今回の定期検査の高圧タービンの分解点検において、高圧タービンケーシン
   グのケーシングボルトの締め付けは、管理値どおりであり、締め付けに異常
   はなかったこと。

3.推定原因
  高圧タービンの分解点検時、ケーシング合わせ面の磨き作業を油砥石で実施し
 た結果、軸封部ケーシングの合わせ面に微小な凹凸が生じていた可能性がありま
 した。
  その後、ケーシング合わせ面が均一であることの確認を実施しないまま高圧タ
 ービンを組み立てたため、調整運転時に軸封部ケーシングの合わせ面に蒸気が浸
 入し、浸食が進行したことにより、漏えいが発生したと推定いたしました。

4.対策
  以下の対策を実施することとしました。
  ・漏えいが生じた軸封部ケーシングの合わせ面について、再度、油砥石で磨き
   作業を実施した後、ケーシング合わせ面が均一であることの確認を実施し、
   異常のないことを確認しました。
  ・今後、タービンの分解点検において、ケーシング合わせ面が均一であること
   の確認を行うこととします。

5.今後の対応
  今後、準備が整い次第、制御棒の引き抜き操作を開始し、原子炉を起動する予
 定です。
  また、調整運転開始後、主タービンの運転状態にて、軸封部ケーシングの合わ
 せ面の健全性を確認します。

                                  以 上

*1 管理区域
    放射線による無用な被ばくを防止するため、また、放射性物質による放射
   能汚染の拡大防止をはかるために管理を必要とする区域。

*2 給水加熱器
    蒸気タービンを回した蒸気を復水器で水に戻した復水を原子炉に給水する
   際、熱効率を良くするため、蒸気タービンから抽出した蒸気(抽気)を用い
   て復水を加熱する装置。

*3 タービン軸封部
    タービンのケーシングを回転体が貫通している部分であり、ケーシング内
   の蒸気の漏えいを防止する機能を有している。

*4 油砥石
    表面の潤滑および洗浄のために油を用いる硬い材質の砥石であり、機械加
   工面の手入れ時に一般に広く用いられるものである。原子力発電設備におい
   てもタービン、ポンプ、弁等の機械加工面の手入れ時に幅広く使用されてい
   る。

添付資料
・全体概要図(PDF 18.9KB)高圧タービン概要図(PDF 106KB)



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