プレスリリース 2004年

柏崎刈羽原子力発電所6号機における保安規定違反の事象と再発防止対策に関する報告書の提出について

                            平成16年12月17日
                            東京電力株式会社

 当社は、平成16年10月20日に柏崎刈羽原子力発電所6号機(改良型沸騰水型、
定格出力135万6千キロワット)において発生した移動式炉心内計装(TIP)注1
系の一時的な弁の不具合について、11月18日、経済産業省原子力安全・保安院よ
り保安規定第43条(格納容器および格納容器隔離弁)に違反していると指摘され、
改善指示を受けました。(平成16年10月21日、平成16年11月18日お知らせ済み)

 本日、この指示に基づき報告書をとりまとめ、原子力安全・保安院に提出いた
しましたのでお知らせいたします。

 事象の概要、違反事項、原因および再発防止対策は、以下のとおりです。

1.事象の概要
  調整運転中の6号機は、平成16年10月20日午後3時頃より、定格電気出力に
 おける原子炉の中性子分布を測定するために移動式炉心内計装系を操作してい
 たところ、同日午後5時頃、この操作を終了する際に、格納容器隔離弁である
 「TIPボール弁」(TIP検出器を原子炉格納容器に出し入れする際に開閉する弁)
 3つのうち1つについて「閉」を確認できない事象が発生いたしました。
  事象発生時点において、当直長(運転責任者)は、万一格納容器隔離信号が
 発生した場合には当該弁は自動的に「閉」するものと考え、翌日(10月21日)
 の対応で問題ないと判断していました。
  しかしながら、10月21日に調査した結果、当該弁は、手動操作で全閉しない
 場合、格納容器隔離信号が発生した場合においても自動的に全閉しないことが
 わかったため、同日午前11時57分、保安規定に定める「運転上の制限」注2の
 逸脱にあたると判断いたしました。
  その後の点検調査結果より、原因はTIP系に付属する近接スイッチ注3の動作
 不良によるものと確認し、不良個所を切り離したところ、同日午後1時37分、
 当該弁を全閉できたことから、同時刻、「運転上の制限」の逸脱から復帰いた
 しました。
  なお、本件による外部への放射能の影響はありませんでした。

2.違反事項
  本件は、保安規定第43条(格納容器及び格納容器隔離弁)で規定されている
 「運転上の制限」を逸脱する状態であったにもかかわらず、事象発生時、格納
 容器隔離弁の機能が健全であると誤って認識し、結果として「運転上の制限」
 を満足していない場合に要求される措置をすみやかに講じることができなかっ
 たことについて、この規定に違反しているとの指摘を受けたものです。

3.原因および再発防止対策
  関係者からの聞き取り調査および要因分析より、本不適合が発生した原因は
 以下のとおりです。
(1)「TIPボール弁」の駆動回路に使用されている近接スイッチの感度設定のず
  れにより、当該弁の動作不良事象が発生した。
(2)当直長は、状態表示が「開」であったにもかかわらず、「格納容器隔離信
  号発生時は自動的に全閉するため、格納容器の自動隔離機能は健全である」
  ものと思い込んでいた。
   また、関係者においても、当該弁の自動隔離機能を正確に理解していなかっ
  たこと、さらに当該弁が格納容器隔離弁であるとの認識が薄かったため、そ
  の誤認を修正できなかった。
(3)格納容器隔離弁について、通常とは違う状況となった時点で、事実に基づ
  き安全側に判断するという意識に欠け、設備図書や弁の状況などの確認を行
  わなかった。

  以上のことから、再発防止対策として、以下の業務改善およびその徹底を図
 ることといたします。
(1)当直長の安全意識の徹底を図り、すみやかに安全側に判断できるようにす
  る。
  ・保安規定に関わる機器等の不適合が発生した場合には、現場調査の事実関
   係を確認し、設備図書により事象の内容を確実に確認するようマニュアル
   へ反映する。
  ・保安規定に関わる機器等の不適合への対応については、判断根拠を引継ぎ
   の当直長に申し送ること、引継ぎされた当直長はその判断に誤りがないこ
   とを確認することをマニュアルへ反映する。
(2)誤判断防止のため、保安規定の要求事項を明確にする。
  ・TIPボール弁の保安規定の要求事項「動作可能であること」について、その
   解釈を明確にし、「保安規定運用要領」に記載することにより、手動で「閉」
   できない場合はすみやかに「運転上の制限」からの逸脱を判断し、宣言する。
  ・保安規定に関わる機器等に対して、保安規定上の位置付けを整理した資料
   を整備・活用する。
(3)TIPボール弁が保安規定における格納容器隔離弁であることを明確にし、関
  係者の認識を統一する。
  ・作業手順書を見直し、作業を実施するグループ側からも当直側へ適切に情
   報発信ができるようにする。
  ・『隔離弁』と明記されていない弁については、制御盤に『格納容器隔離弁』
   であることを表示する。
(4)設備面の信頼性向上対策として、近接スイッチの感度設定方法を見直すと
  ともに、誤動作防止の観点から、TIPボール弁動作回路の変更等を検討する。

 当社といたしましては、このたびの原子力安全・保安院の指摘を真摯に受けと
め、再発防止対策に取り組んでまいります。

                                 以 上


注1:移動式炉心内計装(TIP)
   原子炉の上下方向の中性子分布を測定する装置であり、ケーブルで接続さ
  れている検出器を炉心内で上下に移動することにより連続で測定することが
  できる。また、局所出力領域モニタの校正用としても用いられる。
注2:運転上の制限
   保安規定では原子炉の運転に関し、「運転上の制限」や「運転上の制限を
  満足しない場合に要求される措置」等が定められており、運転上の制限を満
  足しない場合には、要求される措置に基づき対応することになっている。な
  お、今回は保安規定第43条(格納容器及び格納容器隔離弁)において、TIP
  ボール弁が格納容器隔離弁として適用され、動作可能と判断されなければ、
  要求される措置として4時間以内にTIPボール弁を有する配管を隔離する必
  要がある。
注3:近接スイッチ
   TIP系に設置されているスイッチであり、TIP検出器が遮蔽容器内にあるこ
  とを検知するためのもの。この検知によりボール弁の閉動作が可能となる。
 
添付資料
・系統概略図(PDF 15.2KB) 


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