プレスリリース 2002年

福島第一原子力発電所3号機および4号機で発見された制御棒駆動水圧系配管の不具合に関する原因と対策について



                                                  平成14年11月22日
                                                  東京電力株式会社

                                    
 当社は、本日、原子力安全・保安院に福島第一原子力発電所3号機および4
号機で発見された制御棒駆動水圧系配管の不具合に関する原因と対策について
の報告書をとりまとめ提出いたしましたので、お知らせいたします。
  なお、報告書の概要は以下のとおりです。
  
1.福島第一原子力発電所3号機で発見された不具合の原因について
  福島第一原子力発電所3号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)
 は第19回定期検査を実施しておりますが、8月17日、制御棒駆動水圧系*1
 配管(以下、「CRD配管」)の取り替え工事において、隣接する既設配管
 の外周面にひび等*2を発見したことから、原子炉格納容器内側のCRD配
 管貫通部について調査を行ったところ、282本中242本にひび等が見つかり、
 そのうちひび等が長い10本について破面を観察した結果、3本でひびが貫通
 していることがわかりました。(9月25日お知らせ済み)

  引き続き調査した結果、ひび等が見つかった原子炉格納容器内側のCRD
 配管貫通部242本のうち、最終的には合計6本でひびが貫通していることが
 わかりました。
  また、点検範囲を広げ調査を実施したところ、原子炉格納容器外側のCR
 D配管貫通部から水圧制御ユニット*3にいたる配管で、233本中28本にひ
 び等が見つかり、当該部の磨きを行った結果、5本については公称肉厚*4
 を割り込んでいることがわかりました。
    
  原子炉格納容器内側のCRD配管貫通部に発生したひびの原因について 
 は、破面調査を実施したところ応力腐食割れに特徴的な破面が確認されたこ
 と、また、破面から塩化物が確認されたことなどから、建設時に原子炉圧力
 容器が据付けられるまで、原子炉格納容器上部が開放されていたことによる
 海塩付着に起因する粒内型応力腐食割れ*5と推定いたしました。
  原子炉格納容器外側のCRD配管に発生したひびについては、CRD配管
 上部に設置されている海水系ドレン配管*6に海水の滴下した痕跡がみられ
 ること、また、ひびの詳細観察を行ったところ、応力腐食割れに特徴的な指
 示が確認されたことから、滴下した海水に起因する粒内型応力腐食割れによ
 るひびと推定いたしました。なお、海水系ドレン配管からの滴下については
 断面を観察した結果、配管内面が海水により経年劣化し、一部が腐食貫通し
 たものと推定しています。
  
2.福島第一原子力発電所4号機で発見された不具合の原因について
  福島第一原子力発電所4号機(沸騰水型、定格出力78万4千キロワット)
 は、9月16日からのシュラウド点検のための停止に先立ち、原子炉格納容器
 外側のCRD配管を点検していたところ、1本のCRD配管表面に水のにじ
 みを確認しました。
  プラント停止後、当該配管近傍のCRD配管9本についてもひび等が確認
 されました。(10月11日お知らせ済み)
 
  引き続き調査を行ったところ、原子炉格納容器外側のCRD配管貫通部か
 ら水圧制御ユニットにいたる配管で295本中112本にひび等が認められ、当該
 部の磨きを行った結果、合計11本が公称肉厚を割り込んでいることがわかり
 ました。
  また、原子炉格納容器内側のCRD配管についても調査を行ったところ、
 公称肉厚を割り込むものは確認されませんでした。
  
  原因については、当該配管上部の海水系ドレン配管の点検口キャップに海
 水の滴下した痕跡があったこと、また、破面調査などの結果、応力腐食割れ
 に特徴的な破面が確認されたことから、滴下した海水により付着した塩分に
 起因する粒内型応力腐食割れと推定いたしました。なお、海水系ドレン配管
 からの滴下については、点検口キャップが海水により経年劣化し、一部が腐
 食貫通したものと推定しています。

3.対策について
    両号機とも原因が共通しており、以下の対策を実施いたします。
    ○CRD配管の取替えおよび付着塩分量の測定
    3号機については、原子炉格納容器貫通部配管全数ならびに、原子炉
   格納容器外側の公称肉厚を割り込んでいるCRD配管5本、4号機につ
   いては、原子炉格納容器外側の公称肉厚を割り込んでいるCRD配管11
   本を取替えるとともに、定期的に配管の付着塩分量測定ならびに、外観
   目視点検を実施し、付着塩分量が管理値を超える場合は清掃及び健全性
   調査を実施します。
    ○海水系ドレン配管の取替えおよび構造変更
    両号機とも、海水系ドレン配管のうちCRD配管上部に設置されてい
   る箇所については、耐用年数の長い配管に取替えるとともに、万一、海
   水が漏れても滴下しないよう飛散防止カバーを取り付けます。また、4
   号機については、点検口キャップのない構造に変更します。

 なお、原子力安全・保安院による国際原子力事象評価尺度(INES)暫
定評価では、両号機とも0-となっています。
                                  
                                                            以 上
*1:制御棒駆動水圧系
    復水系統などから制御棒駆動機構に通常操作のための駆動水、原子炉
      スクラム時の高圧水などを供給する系統。
*2:ひび等
    液体浸透探傷検査において指示模様が確認されたもの。
*3:水圧制御ユニット
    制御棒を動作させるために、制御棒駆動水圧系への水を制御する弁類
      等をまとめた装置。
*4:公称肉厚
    JIS等の規格で決められた配管の肉厚寸法。許容公差についても、規格
     で決められている。
*5:粒内型応力腐食割れ
    塩化物付着のような環境条件で生ずることが多く、結晶粒の内部を横
      切るような形で発生・伝搬する応力腐食割れの一種。
*6:海水系ドレン配管
    海水を使用している熱交換器の点検時に、熱交換器内の海水を排出する
      ために使用する配管。


<別紙-1(PDF 53.7KB)>
<別紙-2(PDF 85.4KB)>
<別紙-3(PDF  7.9KB)
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