プレスリリース 2001年

「地球と人とエネルギー ~TEPCO環境行動レポート2001~」の公表について



                                                    平成13年7月31日 
                                                    東京電力株式会社 


 当社はこのたび、「地球と人とエネルギー ~TEPCO環境行動レポート2001~」 
を作成・発行いたしました。本レポートは、環境に関する情報開示資料として   
1992年度から毎年公表しているものです。このたび、発行開始から10年目、また 
21世紀最初の発行という節目を迎え、タイトルも新たに、大幅な刷新を行いまし 
た。 
 今回の報告書では、持続可能な発展の基礎を成すと言われている「環境面」、 
「経済面」、「社会面」の3つの側面(Triple Bottom Line)に即して、当社の 
取り組み内容や実績をご紹介いたしました。また、レポート本編は年度実績報告 
を中心にスリムな記述とする一方、資料編には詳細なデータや解説を豊富に盛り 
込むなど、編集方法の工夫にも努めました。 

1.2001年版レポートの特徴的テーマ 

(1)「環境面」~環境管理のさらなるレベルアップ~ 

1、「グリーン調達・購入」を積極的に展開 
 当社は、環境特性が極めて優れた燃料であるLNGを世界で初めて火力発 
電に導入(1970年)するなど、早くから環境に配慮した資材調達や物品購入 
を実践してまいりましたが、このたび、資材調達における環境配慮の内容を 
具体的に定めた、「グリーン調達ガイドライン」を新たに策定いたしました。 
 こうした、従来からの取り組みを体系化した今回のガイドラインに基づき、 
今後も、取引先企業の環境管理状況、製品の環境保全性の両面から、より一 
層の環境配慮を目指します。 

[当社「グリーン調達ガイドライン」の基本的構成] 
○環境管理評価 
      ・電力設備品の取引先、請負工事会社、関係会社など約700社に対し、 
        ISO14001規格に準じた環境マネジメントシステムの構築を要請 
      ・環境保全に積極的に取り組む企業との取引を優先 
○製品評価 
      ・エコ提案の募集   : 調達品の環境配慮型への改善提案を常時募集 
                           し優れた提案については優先的に発注 
      ・購入ガイドライン : オフィスの事務用品などについての購入判断基準を 
                           設定 

2、「廃棄物リサイクル率100%」へ目標を設定 
 当社は、2005年度までに産業廃棄物リサイクル率100%を目指します。 
 これまでに、3年連続で「2001年度にリサイクル率93%」という中期目標 
をクリアしていることを踏まえ、資源循環型社会の構築への貢献に向けたさ 
らなる挑戦として、総合リサイクル率100%を目指すという新たな目標を掲 
げました。今後、処理技術の確立や継続的なリサイクル施設の確保などの課 
題克服に取り組むとともに、コスト面や処理エネルギー面などを含めた、適 
切で合理的なリサイクル方法の研究を進めます。 

[新たなリサイクル目標] 
                                                                        
2005年度までに総合リサイクル率100%を目指す                        
                                                                        
廃コンクリート電柱、重原油灰、排水処理汚泥など    現状維持:           
(すでに100%リサイクルしている廃棄物)          リサイクル率100%維持 
                                                                        
汚泥、貝類、がれき類など                                            
(従来リサイクルが充分に図られていない廃棄物)    2005年度までに       
金属屑、廃プラスチック、保温材など                リサイクル率100%    
 (分別が困難な混合廃棄物)                                          
                                                                        
3、PCB無害化処理施設(横浜)、今年10月運転開始予定 
 当社は、日本初の本格的なPCB処理システム構築に取り組んできており、 
今後10年程度で、当社が保有するPCBの全量処理・リサイクルを目指しま 
す。これまでに、PCB絶縁油や変圧器の容器本体などを安全に処理しリサ 
イクルするための施設の設置計画を横浜市、千葉市、川崎市の3か所で進め 
ており、先行地点である「横浜絶縁油リサイクルセンター(仮称)」では、 
   今年10月の運転開始に向けて建設工事を行っております。                 
                                                                        
   [PCBリサイクル施設の概要]                                         

            横浜絶縁油リサイクル  千葉絶縁油リサイクル   変圧器等リサイクル 
       センター(仮称)      センター(仮称)       センター(仮称) 

設置場所     横浜火力発電所(神奈  千葉火力発電所(千葉   東扇島火力発電所(神 
            川県横浜市)敷地内   県千葉市)敷地内       奈川県川崎市)隣接地 

処理の内容   PCB絶縁油の          PCB絶縁油の            PCB付着変圧器等の 
            分解・再資源化       分解・再資源化         洗浄・再資源化 
                                                    PCB絶縁油分解・再資源化 
処理対象予定 当社の保有する神奈川   当社の保有する千葉県   当社の保有するPCB
       県内のPCB絶縁油        内のPCB絶縁油        汚染物の全量

設置許可取得 2000年9月              2001年3月              2001年5月 

運転開始予定 2001年10月             2001年度中             2002年度より順次 

(2)「経済面」~高い経済効率の追求~                                      
                                                                        
 設備・業務全般にわたる経済効率の向上により競争力を強化していくことは 
お客さまに選ばれ続ける価格やサービスの実現につながるとともに、環境保全 
や安定供給など社会的使命の継続的達成にも貢献します。 
 2001年版で新設した「経済効率」の章では、利益・財務体質の改善状況や設 
備効率の向上、環境会計手法の構築状況などについて詳しくご紹介しておりま 
す。 

<社会的影響の評価を含む環境会計手法の構築> 
○環境効率(Eco-efficiency)※指標の算定 
 環境会計が取り組むべき本来のテーマは、社会が外部不経済として負担 
する環境影響(=社会的影響)をいかに経済効率的に最小化しているか、 
を評価・分析することにあると考えられます。そこで、当社では、環境負 
荷量と経済価値(売上高)とを対比させた「環境効率(Eco-efficiency) 
指標」の試算に取り組んだ結果、当社の環境効率は、最近10年間で約3割 
向上していることが分かりました。今後も手法の改善を図りながら、指標 
値の推移を把握・評価してまいります。 

※Eco-efficiency・・・この概念はWBCSD(世界環境経済人協議会)が立案したもので, 
           次の算式により得られた指標で評価されます。 

                     製品またはサービスの数量・価格 
    Eco-efficiency = ──────────────                 
                              環境影響 

○環境対策コストおよび内部経済効果の把握 
 当社における2000年度の環境対策コストは、前年度と同様に、公害防止 
や景観・都市空間対策などの構成比率が高くなっております。また、2001 
年版では、こうした環境対策に伴い発生する内部経済効果の算定基準を新 
たに作成(2001年4月)し、2000年度実績値の試算を行いました。主な内 
訳は、熱効率向上による燃料費節減やリサイクル売却益などとなっており 
ます。 

<環境対策コスト(2000年度)>         <内部経済効果(2000年度)>            
                    (億円)                                     (億円)   
                投資   費用       効果項目       主な内訳           効果    

環境管理          -     40      発電用燃料  熱効率や送配ロス率の          
地球環境保全      17     12          費節減  改善(1990年度からの改    360    
公害防止         243    226                  善による節減額)など           
自然・景観対策    842    38      資材調達    リサイクル電線購入な          
放射性物質管理    39    298      コスト節減  どのグリーン調達・購入     51    
技術開発          -    113                  (通常品購入との差額)         
資源循環          12     67      リサイクル  リサイクルに伴う金属          
社会貢献等         1     73      売却収益    屑など副産物の売却益       5    
              1,154    870                                           
                                                                        
○自然環境価値の金額評価への取り組み 
 当社は、自然保護や設備の景観調和など、環境便益の定量的評価に向け 
た一テーマとして、尾瀬の環境価値評価に実験的に取り組んでいます。 
 このたび、尾瀬の自然価値に対する評価について「仮想評価法         
(CVM)※」に基づいたアンケート調査を実施し、関東地方在住者の尾 
瀬の自然価値に対する評価額は、約280億円という試算結果を得ました。 
 今回の調査結果から、当社が30年以上自然保護に取り組んできた尾瀬の 
価値の高さを、金額という定量的尺度で改めて認識することができました。 
 今後も、尾瀬だけでなく、さまざまな環境対策による社会的便益の評価 
に取り組んでまいります。 

※CVM(Contingent Valuation Method) 
 ・・・現状の環境と仮想的に悪化(改善)した環境を設定し,その変化 
       を阻止(実現)するための対策の実施に対する支払意思額を一般 
       市民に尋ねることで環境価値を金額評価する手法。 

(3)「社会面」~幅広い価値の実現に向けて~ 

 当社は、経済的価値だけでなく、社会性・倫理性など多様な観点からの価 
値の実現に主体的に取り組むことが、持続可能な発展に向けた企業存続の条 
件であると考えます。「社会的責務」の章では、安定供給確保など電気事業 
者としての基本的命題に加え、当社社員の活力・能力向上のための労務人事 
諸方策や安全・健康への配慮、お客さまのエネルギー効率向上への支援、さ 
らに環境教育支援や地域共生活動など、社会の期待と要請に応えるための幅 
広い取り組みについて紹介しております。 

2.主な環境指標の実績および将来目標 

(1)CO2排出原単位は前年度実績並み 
 2000年度の販売電力量は、わが国経済が緩やかな回復傾向を示したこと 
などから、前年度に比べ2.3%(65億kWh)増加いたしました。一方で、 
CO2を排出しない原子力発電の比率が若干低下するなどマイナス要因は 
あったものの、火力熱効率の一層の向上を図ったことなどから、CO2排 
出原単位は、ほぼ前年度実績並みとなりました。 
 今後、今年3月に発表した経営ビジョンにおいて掲げた2010年度目標   
「CO2排出原単位を90年度比20%削減」の達成に向けて、原子力発電所 
の高稼働運転の推進や火力熱効率のさらなる向上、京都メカニズム活用な 
どの諸方策に全力をあげて取り組んでまいります。                     
                                                                        
                              実 績               将来目標         

                     1990年度 1999年度 2000年度    2010年度         

CO2排出原単位        0.382    0.326    0.328  1990年度比20%削減     
(kg-CO2/kWh)(*1)                                  0.31程度          

CO2排出量(万t)       8,410    8,940    9,220                         

販売電力量(億kWh)        2,199    2,742    2,807                         

(*1)kg-CO2/kWh:販売電力量1kWh当たりのCO2量                             
                                                                        
 なお、2000年度の発電電力量の42%を占める原子力発電によるCO2排 
出抑制量は9,070万tと試算され、これは、当社におけるCO2全排出量の 
9,220万tにほぼ相当する量となっております。 

(2)SOX、NOXの排出実績は引き続き極めて低い水準を維持 
 SOxを排出しないLNG火力発電の比率が約8割と高いことや、排煙 
脱硝装置の設置や燃焼器取り替えなどの対策の実施により、SOx、     
NOxとも排出原単位は前年度実績を維持いたしました。なお、これらの 
実績は、世界的に見ても極めて低い水準となっております。             
                                                                        
                                   実 績              将来目標      
                          1990年度 1999年度 2000年度   2010年度      
    SOX排出原単位(g/kWh)  0.17     0.07     0.07       0.1程度       
    NOX排出原単位(g/kWh)   0.22     0.10     0.10       0.2以下       
                                                                        
                                                                        
(3)リサイクル率は前年度に引き続き94%と高水準を維持 
 1997年に設定した中期目標「2001年度の埋立処分量1万7千t以下、再資 
源化率93%」を前倒しで3年連続達成したため、新たに「2005年度までに 
総合リサイクル率100%を目指す」という目標を設定いたしました。今後、 
目標達成に向けて廃棄物B群・C群のリサイクル率向上に重点的に取り組 
んでまいります。                                                    
                                                                        
                                            実 績         将来目標     
                                       1999年度 2000年度     2005年度     
総合リサイクル率(%)                       94       94     100%を目指す 

個別廃棄物 A群:廃コンクリート電柱等(*1)    100      100    現状(100%)維持 
リサイクル B群:汚泥、貝類、がれき類等(*2)    88       79     100%を目指す 
率(%)   C群:金属屑、廃フ゜ラスチック等(*3)90       91         同上       

   (*1)既に100%リサイクルしている廃棄物 
   (*2)従来リサイクルが充分に図られていない廃棄物 
    (*3) 分別が困難な混合廃棄物 

                                 以 上 






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