プレスリリース 2000年

2000年版「環境行動レポート」の公表について



                                                     平成12年7月26日
                                                     東京電力株式会社


 当社はこのたび,1999年度における環境問題に対する取り組みの成果や今後の
目標などをまとめた2000年版「環境行動レポート」を作成しました。
 本レポートは,当社の環境保全活動について,広くみなさまにご理解いただく
とともに,ご意見を承り,今後の活動にいかしていく目的で,92年度から毎年公
表しているもので,今年で9回目となります。

1.2000年版「環境行動レポート」の特徴
 今年版は,従来からの内容を1999年度実績に更新するとともに,京都メカニズ
ムへの取り組み,環境会計への取り組み,環境マネジメントシステムのレベルア
ップ,PCBのリサイクルへの取り組みなど,特に重要な取り組みについての内
容を充実いたしました。

 (1)地球温暖化防止に向けた京都メカニズムへの取り組み
  国際的な協力を通じて温室効果ガスを削減する仕組みである京都メカニズム
(柔軟性措置)は,原子力発電をはじめとした国内のCO2対策を補完するもの
として,また,当社の技術やノウハウをいかした国際協力活動としても大変重
要な取り組みです。当社はかねてより,京都メカニズムの具体的活用をめざし
た下記のプロジェクトに積極的に取り組んでおり,それぞれ既に本格的な実施
段階に入っています。

 1)オーストラリアにおける植林プロジェクト
  当社は,オーストラリアのニューサウスウェールズ州において,2000年
 2月に現地法人(TEPCO Forests Australia Pty.Ltd)を設立し,CO2の
 吸収・固定を目的とした環境植林を開始しました。
 このプロジェクトは,森林資源の保全に貢献するとともに大気中のCO2
 を直接固定する現実的な温暖化対策であり,また炭素クレジットの確実な
 取得を期待することができることから,国内のCO2対策を補完する手段と
 して有効であると考えています。
  2000年度は約1,000haの植林を実施し,今後10年間で1万~4万haに拡大
 することを検討しています。このプロジェクトで1万haを植林した場合,
 年間約10万tのCO2を30年間にわたって吸収することができると試算して
 います。
  また,当社は,オーストラリア有数の総合資源会社であるノースリミテ
 ッド社,三菱製紙(株)および三菱商事(株)が同国のタスマニア州で実
 施している植林事業にも出資・参加しており,目標植林面積は合計で    
 25,500ha(年平均1,700ha程度)を計画しています。

 2)世界銀行炭素基金(PCF)への参加
  世界銀行は,京都メカニズムの活用に向けた具体的な仕組みの構築のた
 めに,資金の収集と効果的なプロジェクトへの投資を目的とした「炭素基
 金」(PCF)を2000年1月に発足させました。
  当社は,炭素基金への参加を通じて炭素クレジットの取得ならびに温室
 効果ガス削減の優良事例についての知見を得ることが期待できることから,
 他に先駆けて構想の段階から参加しています。
  炭素基金では再生可能エネルギーの利用促進や発電所の熱効率改善など
 20件程度のプロジェクトへ投資することを計画しており,当社はこの炭素
 基金に出資・参加することによって,2012年までにおよそ90万t-CO2程度
 の炭素クレジットの獲得をめざしています。

 (2)環境会計への取り組み
 当社は,企業の環境保全に関わるコストとその効果を把握・評価する仕組み
として,環境面の取り組みの一層の効率化を促すことが期待される「環境会計」
の実現に向けて,現在,その具体的手法の検討に取り組んでいます。
 当社は従来から環境に関するコストを自主的に把握・管理していますが,算
定の対象は公害防止に関係する投資額や経費が中心でした。このため,算定の
対象範囲を従来に比べ大幅に拡大するとともに,環境庁のガイドラインなども
参考にして,算定基準の全般的な見直しを行い,本年5月に当社独自の「環境
対策コスト算定基準」を新たに作成しました。
 その算定基準に基づいて1999年度実績値を試算すると,公害防止施設の建設
や設備全般の景観・都市空間確保対策などを中心とする投資額は1,650億円とな
り、公害防止施設の維持管理費や環境関連の技術開発費などの費用は795億円と
なりました。
 このように、現時点で,環境会計の前提となる体系的・網羅的な環境対策コ
ストの把握を完了したものと考えていますが、今後は,各コストにそれぞれ対
応する効果面の把握を行い,コスト対効果の定量的な評価に向けて検討を進め
てまいります。

<当社の環境対策コスト試算結果概要(1999年度実績試算値,単位:億円)>
     分 類              主な内容       投資額  費 用  <参考>対応する主な成果

                                                                       ○環境関連有資格者数
環境管理コスト     環境関係組織の人件費,環境に関する   -   40    ・公害防止管理者   962人
                   研修,外部認証取得など                            ・エネルギー管理士 595人
                                                                       ○ISO14001認証取得(4事業所)

                                                                       ○CO2排出量の抑制
地球環境保全コスト 火力熱効率向上,新エネルギー導入,    241   18    ・排出原単位0.29kg-CO2/kWh
                   省エネ・節水型機器導入など                      ○新エネルギー導入  
                                                                        ・風力発電 500kW

                                                                       ○SOx・NOx排出抑制(排出原単位)
地域環境保全コスト 大気汚染等公害防止,放射性物質等管  1,305  523    ・SOx:0.07g/kWh,NOx:0.10g/kWh
                   理,自然保護,送配電線地中化など                 ○緑地率の維持(発電所緑地率) 
                                                                        ・火力 28%,原子力 65%
                                                                       ○配電線地中化の推進 			
                                                                        ・配電線地中化率8.6%

技術開発コスト    各種電力設備の環境負荷低減のための    -    68   ○産業廃棄物の再資源化率 94%   
                   研究開発など                                    ○オフィス古紙リサイクル推進
                                                                        ・古紙回収量3.7千t
 
廃棄物処理・       廃棄物の発生抑制,減量化,保管,処     10   64  
リサイクルコスト   理・リサイクル,埋立処分など                         

社会貢献コスト     環境関連行事,環境教育支援活動,環     94   43  ○環境報告書等による情報開示充実
                   境関連情報開示,グリーン購入など                 ・環境行動レポート 約3万部発行

その他の環境コスト 海外における環境関連コンサルティン    -   40  ○海外研修生受入・専門家派遣
                   グ活動,環境関連の課徴金など                      ・受入研修生数 163人
                                                                        ・派遣社員数  134人
(参考)合計                                           1,650  795  

 (3)環境マネジメントシステムのレベルアップ(ISO14001外部認証取得)
 当社は,支店や発電所などに従来から導入している環境マネジメントシステ
ムの一層のレベルアップ方策のひとつとして,ISO14001の外部認証取得に取り
組んでいます。現在までに,4つの事業所において認証を取得していますが、
今後とも,認証取得という方策も含め,全社的な環境管理の整備をさらに推進
していきます。

  <当社のISO14001認証取得状況>                                        
     事業所名               審査登録の範囲               登録年月    
  神流川水力建設所  建設所および管轄の3工事事務所全て    1999年11月   
  山梨支店          支店本部および甲府・身延各営業所,    1999年12月   
            甲府工務所                                         
  神奈川支店        横須賀営業所                          2000年1月   
  千葉支店          支店本部および千葉営業所,千葉工務所  2000年3月   

(4)PCBのリサイクルへの取り組み
 当社は,保有するPCBの処理・リサイクルに向けた取り組みをすすめて
おり、電気機器などに使用されたPCBを含む絶縁油については「絶縁油リ
サイクルセンター(仮称)」を設置し,「化学抽出分解法」(注1)によりPC
Bの分解および再資源化を行う計画です。また,PCBを含む絶縁油を抜い
た後の電気機器本体については「変圧器等リサイクルセンター(仮称)」を
設置して洗浄および再資源化を実施します。再資源化した絶縁油や機器の部
材(鉄・銅など)は,有効にリサイクルします。
                                                                        
   設置計画施設名称   処理の内容       設置場所     処理開始予定 
                                    ・横浜火力発電所(神奈              
   絶縁油リサイクル ・PCB絶縁油の     川県横浜市)敷地内    2000年度中  
   センター(仮称)  分解・再資源化  ・蘇我資材センター(千葉県              
                                     千葉市)敷地内                    
                    ・PCB付着変圧器                                     
   変圧器等リサイク  等の洗浄       ・東扇島火力発電所(神 2001年度より  
   ルセンター(仮称) ・PCB絶縁油の     奈川県川崎市)隣接地 順次運転開始 
                     分解・再資源化                                     
                                                                        
 今後とも皆さまのご理解をいただきながら,安全と環境を最優先にPCBの
処理・リサイクルに取り組み,処理開始後10年程度で全量完了する予定です。
(注1)化学抽出分解法
   当社と三井物産(株),(株)ネオスが,生産開発科学研究所の指導を受け
  て共同開発した,PCBを化学的に分解する技術。PCBを含む絶縁油に,ア
  ルカリと溶媒を加え,常圧約200度で加熱することで,PCBを脱塩素化し,
  無害な油と塩に分解する。

2.主な環境指標の実績(1999年度)
 (1)CO2排出原単位は前年度に比べわずかながら増加                      
                        1990年度   1998年度   1999年度  前年度との差  
     CO2排出原単位       0.34       0.28      0.29      +0.01      
      (kg-CO2/kWh)(注2)   
     
(注2)kg-CO2/kWh:1kWhの電気を発電するときに発生するCO2量
   1999年度は,景気は緩やかながら改善の兆しを示し,当社の販売電力量は
  前年度を2.7%上回りました。これを賄うための発電電力量の内訳は,
   1)CO2を排出しない原子力や水力の発電電力量が減少
   2)一方で火力発電電力量が増加
    したため、CO2排出原単位は前年度に比べ0.01kg-CO2/kWh増加しました。 
   
   #clt;参考#cgt;                                                              
                                  90年度 98年度 99年度 対前年度比     
      CO2総排出量(万t-CO2)(注3)  8,380  8,410  8,940   +6 %      
        発電電力量(億kWh)(注4)         2,485  3,030  3,082   +1.7%     

(注3)今年度より「CO2に関する指標」については,国内外の状況に鑑み,
   「CO2量」として表記することとしました。
(注4)発電電力量=当社の発電所分(発電端)と他社分(発電端),他電力会社
   との融通分などの合計

 なお,1999年度の発電電力量の44%を占める原子力発電によるCO2抑制量は
9,230万t-CO2と試算しています。これは,当社の99年度における実際のCO2
排出量(8,940万t-CO2)を上回る量に相当します。

  (2)SOX,NOXの排出実績は引き続き極めて低い水準を維持               
                              1998年度   1999年度   前年度との差        
     SOX排出原単位(g/kWh)    0.06       0.07        +0.01           
     NOX排出原単位(g/kWh)    0.11       0.10        ▲0.01           

 全発電電力量(自社分)に占める火力発電の割合が増加したため,SOx排
出原単位はわずかながら上昇しました。また,燃焼器の取り替えなどにより
NOx排出原単位は減少しました。
 なお,これらの排出実績は,従来に引き続き,世界的に見ても極めて低い
水準を維持しています。

  (3)リサイクル率は前年度より1ポイント向上して94%                     
                            1998年度   1999年度   対前年度比           
       埋立処分量(千t)       10.3        9.0      ▲13%              
       再資源化率(%)         93         94       +1ポイント           

 コンクリートくずや排水処理汚泥の再資源化をすすめたことにより、廃棄
物全体の埋立処分量は前年度に比べて約13%減少し,また再資源化率は前年
度に比べて1ポイント増の94%に達し,日本全体の再資源化率41%(1997年度)
を大きく上回りました。

 (4)規制対象フロン類の修正消費量は前年度より若干増加                   
                           1998年度   1999年度    対前年度比           
     修正消費量(ODP-t)(注5)    5.7       7.7       +35%             
     実消費量(t)               26.5       24.2       ▲ 9%            
 
 規制対象フロン類の実消費量はさまざまな削減対策により約2t減少しまし
たが,オゾン層破壊係数の比較的高いハロンの放出などにより,オゾンに与
える影響度を考慮した修正消費量(注5)は,前年度に比べて2t増加しました。
(注5) 修正消費量とは,フロンの種類ごとの実消費量に,各フロンのオゾン
    への影響度を表す「オゾン層破壊係数」(ODP=Ozone Depletion 
       Potential)をかけて算出したもの。

                                                            以 上



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